ドラマ
福士蒼汰主演の社会派警察ドラマ「東京P.D. 警視庁広報2係」では、事件発生時の情報管理、メディア対応などを担う警視庁広報課2係に異動してきた主人公・今泉麟太郎の葛藤や奮闘を通して、警察内部やメディアを巻き込んだ人間模様を描いている。
地上波season1放送後、現在はFODでseason2が配信中。国家公安委員長刺殺事件という未曽有の展開から幕を開ける第2章で、事件の犯人であり、season1からカギとして描かれる自己啓発セミナー団体“新生自尊の会”の会員・丸井秀夫を演じるのが、超特急の小笠原海だ。刺殺事件の犯人という難役にどう向き合ったのか、小笠原にインタビューした。
――出演が決まっての心境を教えてください。
一昨年頃からマネージャーさんと、骨太な作品、ハードな作品に挑戦していきたいよねと話していたんです。だからこそ、2026年になって挑戦させていただけるのはすごくうれしくて。犯人役にも挑戦したいと思っていました。僕が好きな作品って、悪役が魅力的なことが多いんです。ただの悪ではなくて、悪役なりの正義や信念があるからこそ魅力的。丸井もただの悪役というより、誰しもこうなり得るような、人間の危うさを感じてもらえるように演じました。
――ハードな作品に挑戦したいと思ったきっかけは?
自分をより追い込む感情だったり、必死さだったり、そういうものが芝居を通してもっともっと出せるといいなと思っていたんです。僕自身があまり怒ったりするタイプではないので、新しい自己表現に出会いたいというのもあって。
そんな中で、丸井という役は挑戦だらけでした。半分以上が取調室にいて、捜査一課の刑事・巨椋(吉原光夫)と一対一で対面するシーン。淡々と話すだけじゃなく、怒りや悲しみが現れたりと、一つの空間の中で感情が行ったり来たりする。それは犯行時の興奮がまだ残っていたり、怒りがあるからで、一方で感情を出し過ぎず、悟られないようにもしなきゃいけない。心の中でふつふつと燃え上がる感情を表現するのは難しいですが、皆さんの力をお借りして、一つひとつ丁寧に挑戦させてもらっています。
――監督とはどのようなやり取りがありましたか?
衣装合わせの時点で結構な時間を頂いて、監督と一対一で本読みをしたんです。一時間、二時間ぐらいでしょうか。役について話すのはもちろん、シーンごとの感情の動きまでしっかり丁寧に話してくださって。僕の意見も伝えながら、一緒に丸井という役を作り上げていきました。どんどん丸井に感情が入っていく感覚になりましたし、本読みの時点で少し泣いてしまうほど、監督には本当に向き合っていただいたんです。より丸井をつかみつつ、そこから現場に入るまでの期間でもどんどん自分を追い込めました。「この映画のこのキャラクターがこういう表情をしている、この感情の揺れ動きがあるから見ておいてほしい」と教わって、実際に見て参考にもしましたね。こんなにも丁寧に向き合っていただいたのは貴重でステキな経験でしたし、今後芝居をしていく中でもすごく貴重で、自分にとってある種の転機になったタイミングでした。
――1話は、丸井が政治家を刺すという衝撃的なシーンから始まりました。このシーンはどのように気持ちを作って撮影しましたか?
僕自身も自分を追い込みましたし、監督も良い意味ですごく追い込んでくれて、感情を作りやすい環境を作ってくださいました。特にリハーサルの時、監督が2人での空間を作ってくれたのが本当にありがたくて、グッと集中できるタイミングになりました。人を刺して取り押さえられてというシーンはすごく神経を使いますし、心がすり減るので、その時に丸井が抱く怒りや悲しみ、正義感がにじみ出るシーンになっていると思います。撮影後に監督が「良いシーンになりました」と言ってくださったことで、救われたし安心しました。基本的に重たいシーンばかりで心を追い込むことが多く、終わった後には疲弊感がすごかったです。だけど、それだけ役に入り込んで丸井として存在できてるのかなと感じられましたし、かなりやりがいのある役だなと。最後まで集中を切らさず楽しく挑みたいです。
――丸井を演じながら疲弊感を感じたように、普段から役に影響されることはありますか?
僕はめちゃくちゃ影響されるタイプです。だから今回の現場の後は、とびきり明るい物語を見ないと引きずってしまうなと思って、『トイ・ストーリー』などのハッピーでカラフルな作品を見るようにしていました(笑)。そうしないと心が持っていかれてしまうので……。僕自身、共感性が高いタイプなので、人の感情やネガティブな感情にも引っ張られてしまうんですよね。
犯人という役柄上、丸井は一見共感しづらいようですが、実は共感しやすい人物。本来はごく普通の人なんです。真面目でまっすぐだからこそほころびが生まれて、追い込まれている時に手を差し伸べられたもの=新生自尊の会を信じてしまいますし、信じたものに対してもまっすぐ。単純な良い悪いでは片付けられない、誰でもなり得る人物です。例えば、仕事が詰まっていて残業続きの時に、全部放り出したくなる瞬間ってありますよね。静かな教室で声を出したらどうなるだろうとか、テスト中に叫んだら……とかも。根っこの感情は同じはずで、その発展形が丸井なので、規模の違いはあれど誰でも理解できるのではないでしょうか。
――警察広報を描く本作ですが、出演にあたり新しい気付きなどはありましたか?
正直、警察広報がどんなところか知らないどころか、警察の組織形態もまったく分かっていなくて。このドラマを機に勉強し、見方や感じ方が変わりました。広報課や刑事課、いろんな部署があって、いろんなメディアに伝わっているんだなと。視聴者として見ていても、役者として現場にいても、今までテレビで見て想像していた警察ドラマとはまた違った雰囲気で、今までにない視点をもらえる作品だなと感じています。
――広報課を通して、情報を出す側と受け取る側の在り方も考えさせられるようなドラマです。タレントとして活動する中、発信したことがうまく伝わらない時はどうしていますか?
文字上だとニュアンスが伝わりづらい実感はあります。こういったインタビューだけでなく、自分で文字にする時でも語彙力の限界がありますし、正しい温度感では伝わりづらい。だから僕は、声で伝える時と文字で伝える時とで使い分けるようにしていて。根幹に近いことを話す時や人の悩みに答える時は、基本的に音声や映像で届けるようにしていますね。
――ご自身が情報を得る時はどこから得ていますか?
情報収集癖があって、興味のあるものについてはむちゃくちゃ情報を集めるんです。考察なんかもよく調べます。例えば韓国カルチャーが好きなんですけど、BTSのMV考察を調べたり、自分で考えるのも好きですね。これは何のメタファーだとか、何がモチーフだとか。動画配信サイトやまとめ記事も見ます。知見が広がるようで楽しいです。人より詳しくてしゃべられるようにならないと好きって言えないと思っているので、僕が好きと言っているものは、自信を持って好きなものです。
――では、自信を持って好きなものとは?
韓国カルチャー、ポケモン、服です。服はむちゃくちゃ詳しいです。コレクションを見るのが趣味で、来年のこのシーズンはこれが流行るだろう、とかまで追っています。韓国カルチャーからの繋がりで空港ファッションもチェックしますし、ライブ衣装を見た時には「これは何年のあのブランドね」とチェックしたり。ファッションって、そうやって広がっていくんですよね。あるデザイナーのコレクションを見ると、映画から着想を得ていて、その映画を見てみたりとか。考察のようなこともできるんです。
――ご自身についてのエゴサーチなどはされますか?
しないですね。他の人のフィルターを通した僕は僕自身ではないと思っているから。僕が表現したいことが、受け取った人の解釈によって変わったりするじゃないですか。昔は多少見ていた時期もありますが、「これは自分じゃない」と思ってしまって。本当に届けたいものに人のフィルターを入れたくないので、僕はもうお届けするだけ。あとはもう自由に噛み砕いてくださいと思いながら届けています。
――最後に、本作の見どころをお願いします。
season1から続く“新生自尊の会”がキーになる物語です。ある種、普通の人間である丸井が引き起こす事件が世間を揺るがし、ただの1つの事件ではなく大きなことにつながっていく。そのきっかけとなる人物が丸井です。もちろん犯人ではありますが、season2においての重要なキーパーソンでもあるので、丸井としての僕が周囲を巻き込み、事件が広がっていき、解決に向かっていく様を全力で楽しんでもらいたいです。
【番組情報】
「東京P.D. 警視庁広報2係」season2
FOD 毎週(火)後9時 最新話配信
FOD公式YouTubeチャンネル 第1話無料配信中
Ⓒフジテレビ