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【インタビュー】「花咲舞が黙ってない」小田玲奈Pが語る今田美桜&山本耕史の魅力から“半沢直樹”まで

ドラマ 2024.05.03

 ドラマ「花咲舞が黙ってない」(日テレ系・毎週㊏後9時~9時54分)は、銀行の支店で起きるさまざまな不祥事を舞(今田美桜)と相馬(山本耕史)が突き止める痛快な展開が好評。5/4㊏放送の4話からは相馬の過去や、昇仙峡(菊地凛子)たちが水面下で進める一大プロジェクトなどが描かれることになり、ますます見逃せない。TVstationでは本誌10号にて小田玲奈プロデューサーに取材したが、この記事では、本誌に収まらなかった小田Pから今田、山本への熱いコメントなどをたっぷり紹介する。

――主演の今田美桜さんについて、小田Pから見た魅力、この人に花咲舞を託してよかったと思う点を聞かせてください。

 今田さんとは2022年4月期の「悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?」でもご一緒しました。2年前から、現場でいつもケラケラ笑って「こんな人いる?」っていうぐらい、本当にいい人で。それが2年経って、今回はさらにパワーアップしています。決して「こっち行くぞ!」みたいな引っ張り方じゃないんだけど、各話のゲストの人たちも自然に輪の中に引き込んで、みんなが「花咲舞、楽しい現場でした」って喜んで終われるようにしてくれる、そういう座長なんですよ。

 お芝居に関しても、以前は例えば「このセリフどういうふうに言えばいいんだろう」みたいなことを一人で抱え込んでしまうことが多かったように思うんですが、今はもっとオープンで悩んだ顔も包み隠さず見せてくれるようになりました。山本さんや周りもスタッフも声をかけやすい空気があるし。本当に頑張って頑張って課題に当たっているんだなって自然に伝わるから、みんな力になりたくなる。結果、メンバーの誰にもストレスを与えることなく、現場で問題の解決を図れるんですよ。もう頼もしくて、ビジネス本を書いてくれたら私が読みたいです(笑)。

 悩んでどうこうって言っても、現場がピリピリするようなことは本当になくて。本番直前までけん玉で遊んで、撮影になると、長ゼリフも難なくしゃべって。「よくこんなシリアスなシーンの前にけん玉やってたね」と思ったりしますけど(笑)。

――1話では根津(栗山千明)の話を聞く表情が、涙ぐんでいるようにも見えて、すてきでした。

 そうそう。すごいですよね、あの集中力。瞬発力も。

――舞の相棒・相馬を好演されている山本耕史さんのことは、どうご覧になっていますか。

 山本さんは皆さんご存知のようにお芝居がすごく上手で、それはコメディっぽいところも含めて。ただ一つ、少しだけ心配があるとしたら、今田さんと並んだときのバランスだったんですね。でも、ドラマではもちろん、初回放送日の電波ジャックを見ていても、年齢差が20あるようには思えないんですよ。親子とかじゃなく、ちゃんと職場の同僚、先輩後輩に見えて、ああ何も心配することなかったなと思いました。それは今田さんが大人っぽく役作りしてくださっているのもあるし、山本さんの若々しさのおかげだなと思います。

 お芝居のことでいうと、舞はただまっすぐで正義感の強い、いい子ではなくて、ちょっと小生意気なところがあって先輩をおちょくったりもするけど、そこがまたかわいく見えるといいなと思っていて。おちょくられる先輩の相馬さんのほうも、やる気がなかったり、いろいろ特徴はあるので、そこをただただ面白くやることも、山本さんはできるんですけど、そうなると銀行のドラマとして、ちょっとファンタジーになってしまうと思うんですね。私たちの日常と地続きにある銀行の話になるように、山本さんがお芝居のトーンを繊細に調整してくださっているなと感じています。

――5話(5/11㊏放送)には、本作の原作者である池井戸潤の別の人気小説シリーズで主人公を張っている、あの半沢直樹が登場します。TBSの日曜劇場で映像化されて社会現象にもなった大物キャラクターですね。

 原作の小説「花咲舞が黙ってない」を読んだときの高揚感をすごく覚えています。帯の「花咲舞vs半沢直樹」で「えー!」ってドキドキして、本文に半沢が出てきてまた興奮して。花咲も半沢もどっちも人気シリーズですが、それをコラボさせちゃうなんて、池井戸先生が天才すぎます。

 (他局の連ドラの主人公でもあるので)「それっていいの?」とか「プレッシャーでしょう?」とか、いろいろお声もいただくんですが、あくまで池井戸先生の原作「花咲舞が黙ってない」に半沢直樹が登場しているので。ひたすらうれしく、ありがたく、ドラマにさせてもらいます。

――原作だと半沢は30代前半ですが、本作では……?

 そうですね。ただ、同番組の時代設定が原作とは異なるので、半沢直樹の年齢設定にも“こうでなければ”という縛りがないんですよ。だから、皆さんが半沢役はこの人かなって思い描いた俳優さん、それ多分違っているかも(笑)。でも、ご期待に応えられるキャスティングを実現できたと思っているので、楽しみに待っていてくださいね。

 原作を読んだ時、そうか、花咲と半沢の世界はつながっているんだ、と思ってわくわくしたんですよね。ということは、今度またTBSさんで「半沢直樹」シリーズをやるときが来たら、そこに花咲舞が登場する展開だってアリなんじゃないかって想像しちゃって。だって「半沢直樹」の舞台の東京中央銀行には、東京第一銀行出身の花咲舞もきっといるんですよ。これまでだって、あのドラマで半沢が何かを突き止めたりしているとき、カメラの死角には花咲舞がいたかもしれない、いておかしくない。そんなふうに想像したら、すごく楽しい気持ちになりました。

――世界線を共有していると思うと、夢が広がります。

 余談ですが、池井戸先生が「『ハヤブサ消防団』のドラマに出てきた居酒屋サンカクのグラス、(このドラマの劇中に登場する)居酒屋花さきでも出したらいいんじゃない?」っておっしゃって。これはちょっとさすがに調整が必要なので、なんともですけど、挑戦してみたいかもと思ってしまいました(笑)。

花咲舞は黙ってない
日テレ/読売系 毎週㊏後9時~9時54分

 

取材・文/赤坂麻実

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