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アニメ「モノノ怪」十五周年記念祭が行われ、中村健治監督、声優の櫻井孝宏、山本幸治プロデューサーが登壇。
2007年にフジテレビ系ノイタミナで放送された「モノノ怪」は、独特の色彩と切り絵の表な表現が話題の人気作。櫻井演じる薬売りが、人の情念や怨念が生んだモノノ怪を退治する物語。
イベントは、ファンから募集した質問に答えるコーナーからスタート。「モノノ怪の世界観を生み出す際に参考にした場所や作品などがあれば教えてください」という質問に、中村監督は「場所だと、目黒雅叙園の百段階段を『座敷童子』の参考にしました。作品だと、市川崑監督の『犬神家の一族』、映画『十二人の怒れる男』とか。いろんなものを参考にしました」と答えた。
また、「薬売りを演じる際に気を付けていることや、独特なセリフの間の取り方に秘訣は?」という質問が。櫻井は「カット割りや台本からのインスピレーションです。最初は戸惑いましたが、世界観のルールが分かってからは、嗅覚でやっていました。秘訣を言葉にするのは難しいですね」と回答。中村監督は、「ぼくは後ろから見てるだけ。最初に物語の説明をして、そのあとは役者さんの持ってる引き出しをもらう側なので」と。さらに「基本的には、役者さんの方が人物について詳しいと思ってるので、細かいことは言いません」と、声優陣への信頼を明かした。
「怪談系作品にありがちな、制作中に起きた不思議な出来事などはありますか?」という質問については、全員が口をそろえて「機械が変な止まり方をした」と明かした。さらに山本プロデューサーが「お祓いにも行ったんですけど、それでも止まったんですよね」と語ると、中村監督は「僕、お祓い遅刻して行ってないんです。お守りを渡されて、『これで護られてろ』と」と笑うと、山本プロデューサーから「そのせいじゃないですか!」とツッコミが飛ぶ一幕が。
さらに、「薬売り以外で、好きなキャラクター」を聞かれた櫻井は、「『海坊主』に出てきたキャストが濃くて。作品のイメージを感じながらやってたら、関智一さんとかがぶち壊しに来るんです。それがセンセーショナルで楽しかったです。規格外の人がやってきて、作品を波立たせるのを見た時は、すごいなと」と笑顔でコメント。さらに櫻井が「後々、若本(規夫)さんが出てきて、もはやモノノ怪でした」と当時を振り返ると、中村監督も「若本さんはコントロールできませんでしたね」と、苦笑いを浮かべた。
イベントでは、ファンが選ぶ好きなシーンの中間発表で、過去の映像が流れると、櫻井が「客観的に観て、今このニュアンスは出せないです。当時の自分に『どうやったの?』って聞きたい。自分じゃないような感じがします」と感想を語った。
そして、舞台化やクラウドファンディングなどと合わせて、劇場版『モノノ怪』の2023年公開が発表に。映画の舞台が、大奥になることも明かされた。
公開された薬売りのビジュアルについて、中村監督は「大奥で周りの人たちが煌びやかで鮮やか。薬売りも一緒にしちゃうと混ざっちゃうので、場を引き締める意味でダークな色にお色直ししました」とコメント。櫻井は「ちょっと興奮しました。いつかまた出来たらと言ってたのが実現して、嬉しい限り。このビジュアル見ただけで、涙が出そう。楽しみで仕方ない」と感想を語った。
最後に中村監督は「いろいろと挑戦的なことをやってきたタイトルです。15年ぶりに新しく作るので、新しいことをやりたいですが、変えちゃいけないこともあるし、ファンの皆さんをガッカリさせちゃいけない。すごく悩みながら、ひとつずつ吟味して進めています。皆さんの期待に応えたいと思っています」とアピールし、イベントを締めくくった。