舞台

「ドキドキと、興奮と、怖さが入り混じっています」藤ヶ谷太輔が4年ぶりのストレートプレイに挑戦!あふれ出る色気は「普段より落としてお届けします(笑)」舞台『野鴨 -Vildanden-』開幕【会見リポート】

舞台 2022.09.04

★1

撮影/熊谷章

 藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)主演の舞台『野鴨 -Vildanden-』のプレスコールが開催された。『野鴨』はノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンが1884年に発表した名作。藤ヶ谷にとっては4年ぶりのストレートプレイ、さらに古典作品への挑戦は初めてとなる。

 プレスコール後の取材会には藤ヶ谷、忍成修吾、前田亜季、浅野和之が登壇。豪商の息子・グレーゲルスを演じる藤ヶ谷は、「この劇場、イプセンの作品、上村(聡史)さんの演出と、すべてが初めて。挑戦させていただいているなという気持ちと、挑戦させていただける環境があることがありがたいという思いです」と心境を語りつつ、「この作品は難しく思われるかもしれませんが、現代に通ずるものがあるので、しっかり観ていただきたい。そのためには我々がしっかりと繊細なお芝居をお届けしなければいけないなという、ドキドキと興奮と、ちょっと怖さと今はいろいろ入り混じってるところです」と、緊張の面持ちながら、丁寧に今の思いを語った。さらに「昨日はセリフを飛ばす夢を見ました(笑)。今、最悪な状態です!(笑)」と初日の緊張ぶりを告白。「初めてのミュージカルの時も飛ばす夢を見て。その時は『どうしよう』とあたふたするというより、キャリアの豊富な出演者もたくさんいますので、先輩方に助けていただこうという。もし正夢になった場合は、フォローをお願いします!(笑)」とキャストへの信頼を寄せた。

★3

 演じるグレーゲルスは、理想を追い求め、真実こそが正義と信じる人物。「自分は正義感を振りかざすタイプは上位にくるくらい苦手なんですけど(笑)」と冗談を交えて話し始めた藤ヶ谷。「でも、きっと自分の中にも無意識に正義感を振りかざしている部分があるんだろうなとも考えました。やっていてすごく難しいけど、楽しいです!」と目を輝かせて答えた。

 また、今作で藤ヶ谷は1冊の台本についてみんなで話し合う”テーブル稽古”を初体験。「台本に書かれていないところ、歴史のことも教えていただきながら、自分の役を自分で作ったというより、皆さんの意見を咀嚼しながら一緒にキャラクターを作れて。新しい体験ですごく楽しかったです!」と笑顔で回答。「セリフの1つ1つをどういう気持ちで言っているかを聞かれ、しっかり答えられるところと『あっ、そこ突かれたな』というところがあって。(台本を)深く深く理解しなきゃいけない、その上で表現しなきゃいけない。改めて台本の大切さをすごく感じました」と発見があったという。一方、藤ヶ谷には一人用の”特別テーブル”だったと言い、「『これってなんだろうな』と聞く人が横にいない。みんなは『これってさ…』と確認できているのに」と稽古の思い出を語り、会場を笑わせた。

★2

 藤ヶ谷の印象について、忍成は「とても美しい!」と一言。「普段雑談してる時は笑顔がかわいらしいんですけど、舞台に立つとオーラが違って、すごく色っぽい。第一印象がすご過ぎて、圧倒されて。芝居の回数を重ねるたびにコミュニケーションが取れるなと感じたので、勘の鋭い方なんだなという印象が大きいです」と大絶賛。「うれしいです。稽古場で『僕の印象どうですか?』とか聞けないので…」と藤ヶ谷は照れ笑い。また、前田は「(稽古中の)ダメ出しで『色気が漏れすぎてる』と言われていたことがあって。『ここは押さえて』と言われていました(笑)」と裏話を暴露。それを受けて藤ヶ谷は「うれしいですけど、なにせ自分でコントロールできるものじゃないので(笑)」と笑いつつ、共演者からの色気の称賛の声に「(色気を出してる意識は)まったくない! そういう作品ではないので、色気出してたら『あいつ、稽古場に何しに来てるんだよ』ってなる(笑)」と思わず爆笑。続けて「僕の役は、ある意味、美しさの必要なキャラクターでもあるので。普段よりも色気を落とした状態で皆さんにお届けできれば」と笑顔で答えた。

 さらに色気をどれくらい落とすか問われ、「結構落とすと思いますね。普段がすごい高いので。それでも皆さんには届くと思いますよ」と饒舌に話していると、すかさず浅野から「調子に乗るなよ!」とツッコミが。そんな浅野も藤ヶ谷の印象については「セリフの入れ方も早いですし、芝居の勘がいい」と称賛。一方で「色気はちょっと憎たらしいけどね(笑)」と念押しで話し、会場は笑いに包まれた。

 稽古の思い出は「10分の休憩は、上村さん言われたダメ出しを書くのと、おにぎりを食べて、次のシーンを確認していたら終わって、それで1日が終わる。役としては濃厚なコミュニケーションを取れたと思います」と藤ヶ谷。稽古の気分転換で「久しぶりに車に乗って、海を見に行きました!」と告白。ずっと室内にいるので、開放されたくて。一人で車で行って、移動中も稽古の音声を聞いて、結局オフにできてないですね(笑)」と真摯な仕事ぶりも明らかに。海に行ったのは夏休み期間だったことから「海の家で若者たちがキャッキャしていて『俺も入りたいな』とは思いましたけど(笑)、ぐっとこらえて。リフレッシュはできました!」と満面の笑みで話した。

 今作を通しての思いについては「僕は舞台、お芝居と表現することをやり続けたいので、いろんな作品や演出の方に出会って、自分の新たな一面を見てみたいという思いがあるので、それをずっと続けたい。あとはおこがましいかもしれませんが、キスマイのファイの皆さんが『演劇って面白いな』とか『この演出、この作品見てみようかな』とか、演劇というものが広がったら良いし、演劇のところで『あの藤ヶ谷という人はキスマイの人なんだ』と知っていただく機会にもなると思いますので、いろんな広がりや可能性を信じて、怖がらず、失敗すると思いますけど挑戦し続けたいなと思っています」と力強く自身の展望を語った。

 最後に藤ヶ谷は「細かいところまでこだわって作りました。そういうところも皆様に届くと信じて我々表現し続けますので、しっかり観ていただければと思います!」と締め括った。

 舞台『野鴨 -Vildanden-』は東京・兵庫で上演。

最新号はこちら

menu