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【試写レビュー】小芝風花&亀梨和也による”悲恋”がついに新展開へ向かう「大奥」 登場人物全員の“もう一つの表情”に目が離せない

ドラマ 2024.02.01

フジテレビ系にて放送中、小芝風花主演の木曜劇場「大奥」(毎週(木)後10時)。約20年ぶりに連ドラとして復活した今作では、政略結婚した主人公・倫子(小芝)と第10代将軍・家治(亀梨和也/KAT-TUN)の間に生まれていく愛、家族への愛、信頼する者たちへの愛、民たちへの愛など、様々な“愛”がせつなくも美しく、時に激しく描かれていく。

先日放送された1~2話では、公家から嫁いできた倫子が自由を奪われた大奥で立ち向かっていくさま、冷徹かと思われていた家治の素顔が少しずつ垣間見え、2人の距離がわずかに近づきつつある展開が描かれた。そして、本日放送の3話では、倫子と家治の愛を阻む障壁がついに動き出す。TVstationでは、放送に先立って試写をレビューしていく。

 

 

何といっても3話で注目したいのが、倫子に起こりつつある変化。1話で登場した倫子は、公家で大事に自由に育てられたおてんば娘という印象が強かった。演じる小芝も「妖怪シェアハウス」(20年テレ朝)や「彼女はキレイだった」(21年フジ)など、快活で明るい役を好演してきたイメージがあることから、納得のヒロイン像だ。

しかし3話では、家治に惹かれつつある倫子を、深いせつなさをもって繊細に演じる小芝に引き付けられる。2話では夜をともに過ごし家治の優しさに触れたけれど、抱かれることはなかった倫子。再び2人きりになるシーンで、倫子はある思いをもって家治を見つめる——。小芝の視線にぐっと引き込まれるその瞬間、ぜひ注目していただきたい。2人の恋が“悲恋”であることをより感じさせるはずだ。

 

 

もちろん、付き人のお品(西野七瀬)とのシーンでは、これまで見てきた倫子らしさも。信頼するお品に、家治への想いを相談する……いわゆる“恋バナ”をするシーンは、今も昔も恋する乙女はみな一緒なのだと、どこかほっこりさせられる。

 

 

そんな倫子が想いを寄せる家治公。倫子への優しさや、困窮する民たちへの思いやりがあるようだが、未だポーカーフェイスで何を考えているのか分からない。亀梨が時代劇初挑戦とは思えないほどの風格と威厳をもって演じることで、より近寄りがたい将軍像を後押ししている。

 

物語では、側室をあてがおうとする田沼意次(安田顕)に「子など、いらぬ」と断言した理由に、徐々に近づいていくが……。悲しいオーラをまとった将軍が、どう変わっていくのか。亀梨は「家治のバックボーンがカギになる」とコメントしており、3話でも見せる家治の思いつめたような、どこか諦めたかのような表情には、大きな事実が隠されているのだろう。

 

3話からのキーパーソンともいえるのが、森川葵演じる倫子の付き人・お知保。倫子を陥れようとする松島の局(栗山千明)の息のかかった付き人であることから、一貫して倫子の“敵”として登場してきた。大奥でのし上がることへの思いは狂気ともいえ、背筋を凍らせるような森川の芝居も魅力的だった。

 

3話で里帰りをするお知保だが、そこで家族に見せる表情は、大奥でのそれとはまるで違うものに。なぜ、大奥でのし上がることにこだわるのか……家族に向けて語られる理由を知れば、お知保にも寄り添わずにはいられなくなるだろう。一見悪にしか見えなかった敵役も、物語が進むにつれて別の顔が垣間見え、視聴者は同情や共感を持ってしまう。それも、この令和版「大奥」の醍醐味なのかもしれない。座長の小芝自身が「『大奥』史上、一番せつないシリーズになる」と語るのも納得だ。
そして、3話では倫子とお知保に衝撃の新展開が。中盤以降にも関わる重要な展開となることから、最後まで見逃さないでほしい。

 

 

忘れてはならないのが、未だ牙を隠している様子の松平定信(宮舘涼太/Snow Man)。スタートに先立って行われた会見では、安田顕から「松平は後半で活躍する」と言われていたが、3話で見せる一瞬の“笑み”が今後につながるカギとなりそうだ。

 

それぞれの愛が絡み合うなか、登場人物たちのもう一つの顔に魅了される令和版「大奥」。豪華キャスト陣による名芝居が、そこにあるせつなさをより引き立て、物語を盛り上げてくれるに違いない。

 

【第3話あらすじ】
 五十宮倫子(小芝風花)の身だしなみを整えるお品(西野七瀬)が昨晩の御渡りについて問いかけると、倫子は「何もなかった」と口にし、徳川家治(亀梨和也)のことがよく分からないと話し出す。
 早速、家治に抱かれなかったことで高岳(田中道子)ら女中の間で“添い寝姫”とあざ笑われる倫子。お品は怒ろうとするが、倫子に制される。倫子はお品にこの先自分の身に何があっても言い返してはだめだと命じており、倫子はお品にひどい目に遭って欲しくなかったのだ。
 一方、倫子のもう一人の付き人、お知保(森川葵)は宿下がりで里帰りしていた。そんな折、倫子が家治と仏間で手を合わせていると、松島の局(栗山千明)が口を開く。なんと、松島は倫子の目の前で家治に側室を設けるよう迫ったのだ。だが、家治は「側室は必要ない」と返す。将軍家の血筋を絶やすことになると食い下がる松島に、家治は何も答えず去る。
 倫子から次第を聞いたお品は、女中たちのうわさとして家治の父・徳川家重(高橋克典)と母・お幸の方(紺野まひる)に関する悲しい過去を話す。倫子は家治のつらい身の上に思いを馳せ…。
 家治が世継ぎを望まぬという話は松平定信(宮舘涼太)も知ることとなり、父の田安宗武(陣内孝則)に告げる。また、家治が田沼意次(安田顕)の言いなりになっていると定信から報告を受けた宗武は、いいことを思いついたと不敵な笑みを漏らし――。

 

【放送情報】
木曜劇場「大奥」

フジテレビ系 毎週(木)後10時~10時54分

★第3話 2/1(木)後10時~10時54分

 

(出演)
小芝風花 亀梨和也 西野七瀬 森川葵 宮舘涼太 / 栗山千明 安田顕 他

 

Ⓒフジテレビ

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