現在、テレビ業界は新型コロナウイルスの影響を受け、ドラマの撮影などがストップしているが、「こんな状況だからこそ、ホッとできる時間をドラマでお届けしたい」という思いで制作されたドラマが3夜にわたって放送されている。それが、「今だから、新作ドラマ作ってみました」だ。

　今作の編成担当・岡本幸江さん（NHK編成局編成センター・副部長）が、リモートインタビューに応じ、制作の経緯やエピソードを明かしてくれた。

  　　　　第1夜「心はホノルル、彼にはピーナツバター」満島真之介×前田亜希

「新型コロナウイルスの影響で、ドラマのロケやスタジオ収録ができなくなり、新たな番組を作ることが難しくなっています。日々の番組を編成する中で、正確な情報をお届けするのと同時に、人の心を温める作品、その両輪が必要なのではないか……と考えたことが今回の企画の始まりです。それとちょうど同じ時期に、私が以前制作統括を担当した大河ドラマ『おんな城主 直虎』(17年)で演出をしたスタッフからも同じ志が編成に届けられまして。ならば、シリーズとしてお届けしようということになり、私は『直虎』でお世話になった脚本家の森下佳子さんに相談させていただいたんです」(岡本)

 　岡本さんが本作の構想を思い描いたのが3月末頃で、具体的に動き出したのは4月上旬だという。実質準備期間1ヵ月弱というスピード感で放送までこぎつけたことになる。

 「企画を出して、GOサインが出るまでに1週間かかってないですね。そこから1週間で森下さんがプロットを作り、GOが出てから2週間以内に(第3夜「転・コウ・生」の)撮影が始まっていました。2本目(「さよならMyWay！！！)」はもっと早かったかもしれません。脚本が上がるまで4日ぐらいでした」

 　　　　　　　　　第2夜「さよならMyWay！！！」小日向文世×竹下景子

　出演者は、各話に2〜3名ずつ。それぞれの話を担当するスタッフが、縁のある俳優陣に出演を依頼してキャスティングしたという。そういった一連の打ち合わせを始め、撮影でも全員が直接顔を合わせることなく“テレワーク”でドラマは作られた。

 「技術的には混乱だらけでした(苦笑)。高性能カメラや本格的な照明を使うわけではありませんし、カメラワークにも制限があります。収録はオンラインでコミュニケーションを取りながら行いましたが、土日だとスムーズに進んでも、平日になると回線が固まって絵が途切れ途切れになったりもして。とにかく、今までやったことがない作業なので、“こんなことでトラブルになるのか”と。まったくの手探り、日々試行錯誤でした」

 　今の状況下だからこそ生まれた作品、一番の見所を聞くと……。

 「俳優さんの貢献度が120％です。皆さんのお芝居そのものに支えられました。どうなるか分からない中に飛び込んでくださって感謝です。今回は、登場人物が少ないうえに舞台設定はステイホーム。できる範囲での精一杯を、俳優さんとスタッフとで探っていったんですが、俳優さんは、自分でカメラアングルを決めて撮影してという、普段やらないことまでやりますから。柴咲コウさんは“本当にヘトヘトになって大変。終わらないかと思った”とおっしゃってました。その分、ものすごい熱のこもったお芝居になっていると思います。皆さんにはいつか何かでお返しをしなくてはと思っています」

 　　　　　　　　第3夜「転・コウ・生」柴咲コウ×ムロツヨシ×高橋一生

　思わぬ形で生まれた新しい形のドラマ。このトライは今後の番組制作に生きる面も生んだのだろうか。

「外に出なくてもちょっとした打ち合わせや会議ができる。これは非常に便利だと思いました。また、編集や音入れといった作業もスタッフが自分のパソコンでやっていますが、通信状況などが改善されれば、たとえば海外にいる形にもお仕事をお願いすることができるようになるんじゃないかなと。そういう意味では可能性を感じていますね。通常の撮影が厳しいなかで、スタッフ、キャストが知恵と工夫を重ねて作った新たな作品です。ゴールデンウィークの夜間に観て、笑ってほっこりして、気持ちがちょっと楽になる期間を持っていただけたらなと思っております」

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第1夜／今だから、新作ドラマ作ってみました」

「心はホノルル、彼にはピーナツバター」

作：矢島弘一　出演：満島真之介×前田亜希

第2夜「さよならMyWay！！！」

5月5日（火）後11:15〜11:45

作：池谷雅夫　出演：小日向文世×竹下景子

第3夜「転・コウ・生」

5月8日（金）後11:40〜深0:10

作：森下佳子　出演：柴咲コウ×ムロツヨシ×高橋一生

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「今だから、新作ドラマ作ってみました」スタッフブログ

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