その他
みなさん、こんにちは。メンタルトレーニングコーチの大儀見浩介です。私の仕事はJリーガーをはじめ、トップアスリートや育成年代のスポーツ選手やアスリート、ビジネスパーソン、学校の先生や生徒、保護者の方々など、あらゆる人達の心理的競技能力向上のお手伝いをすることです。簡単に言えば、心を強くするコーチです。今回はメンタルトレーニングのスキルのひとつ「セルフトーク」についての話をしましょう。
セルフトークとは別名『自己会話』といって、自分自身に対してかける言葉のことです。人間の心と言葉はつながっています。下を向いて「はぁ…」と溜息をつくと、どんどん気持ちが沈んでいく一方、顔を上げて胸を張り「ヨッシャー」や「絶好調!」などと言うと気持ちは高まっていきます。トップアスリートの中には、試合前にトイレに行って鏡を見ながら「おれはできる」「今日も調子がいい」といったように、自分に言い聞かせる選手も多くいます。鏡を見て、自分に語りかけるようにセルフトークをすると、より深い自己暗示がかかると言われています。
セルフトークをするときのポイントは3つあります。
「プラスの言葉遣いをすること」
「自信が湧き上がる態度をとること」
「繰り返し、言葉にすること」
プラスの言葉遣いとは『良いよ』『OK』『良い感じ』『楽しい』など、口に出すと気持ちが明るく、前向きになる言葉のこと。強気、前向きで、やる気に満ちた言葉を使うようにしましょう。もし、『だるい』『疲れた』などのネガティブな言葉を言ってしまった場合、すぐに『でもがんばろう』『ここからが勝負!』など、否定的な発言を取り消すような、ポジティブなことを言うクセをつけると良いでしょう。
また、「◯◯しない」など、打ち消しの言葉を使わないように注意しましょう。「猿をイメージしないでください」と言われたら、自然とイメージしてしまいますよね。それと同じように「ミスをしない」といった、打ち消しの言葉を使うと、ミスのイメージが頭に残ってしまいます。そのため「ミスをしない」ではなく、「コースを狙って蹴る」など、具体的な言葉を使うようにしましょう。
ポイントの2つ目は「自信が湧き上がる態度をとること」です。ジェスチャーをして体を動かすことで、心も一緒に動きます。たとえば、ジェスチャーをつけずに「俺はできる!」と言うのと、両手でガッツポーズを作って「俺はできる!」と言うのとでは、どちらが気持ちが盛り上がってくるでしょうか? 多くの人がジェスチャーをして言葉を発したほうが、やる気が湧き上がってくると思います。心と体はつながっているので、胸を張り、顔を上げて、自信に満ち溢れた表情を作って、セルフトークをしましょう。
3つ目のポイントは「繰り返し、言葉にすること」です。たとえば、スポーツの試合中に良いプレーをしたとき。「良いよ、良いよ」「ナイスプレー、ナイスプレー」など、繰り返し言うことで印象に残り、自分への暗示もより強いものになっていきます。また、セルフトークは自分だけでなく、味方への声掛けにも有効です。チームメイトの好プレーに対して「ナイスプレー!ナイスプレー!」と声をかけて褒めることで、言われたチームメイトの気持ちが高まっていくとともに、セルフトークとしての意味を持つので、自分のやる気も高まっていきます。
チームメイトや周りの人に対してポジティブな言葉を使うことは、セルフトークとして自分に跳ね返ってきます。学校や職場、友だちとの集まりなどでは、ぜひポジティブな言葉を使うように心がけましょう。そうすることで、周囲だけでなく、自分の気持ちも明るく、前向きになるはずです。さあ、明日からセルフトークにレッツトライ!
<プロフィール>
大儀見浩介(KOSUKE OOGIMI)
メンタルトレーニングコーチ。㈱メンタリスタ代表取締役。
サッカー選手として、東海大一中時代に全国優勝を経験。高校ではサッカー部主将として鈴木啓太(浦和レッズ/元日本代表)とプレーした。東海大学体育学部・高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育メンタルトレーニング、受験対策、ビジネスメンタルなど、様々な分野でメンタルトレーニングを指導している。テレビ・新聞・雑誌出演多数。著書に「C・ロナウドはなぜ5歩さがるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング」「ヤングアスリートのための36のメンタルトレーニング」「心理戦術が日本サッカーを進化させる」がある。妻はなでしこジャパンの大儀見優季。http://www.mentalista.jp