その他

[6]視覚情報がものをいうコミュニケーション

その他 2014.10.03

みなさん、こんにちは。メンタルトレーニングコーチの大儀見浩介です。私の仕事はJリーガーをはじめ、トップアスリートや育成年代のスポーツ選手やアスリート、ビジネスパーソン、学校の先生や生徒、保護者の方々など、あらゆる人達の心理的競技能力向上のお手伝いをすることです。簡単に言えば、心を強くするコーチです。今回はメンタルトレーニングのスキルのひとつ「コミュニケーション」についての話をしましょう。

職場や趣味の集まり、学校の部活動、スポーツクラブなど、集団で物事に取組む場面はたくさんあります。その中でもっとも大切な、人間関係を築くためのスキル。それがコミュニケーションです。コミュニケーションはひとりでは成り立たないもの。相手があってのものです。つまり、コミュニケーションは「相互受信関係」なのです。どちらかが一方的に話をして、片方がだまって聞くというのはコミュニケーションとは言えません。

コミュニケーションには、大きくわけると2つの種類があります。ひとつが「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」、もうひとつが「バーバル(言語)コミュニケーション」です。「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」は、身振り手振りや顔の表情、視線など、言葉以外の部分を使ったコミュニケーションのことです。会話をしなくても、なんとなく「あの人は私に好意を持っているな」「ひょっとしたら、私の事がきらいなのかな」と感じた経験はありませんか? これは態度などが発する「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」を介して、相手に伝わっています。

「バーバル(言語)コミュニケーション」は文字通り、言葉を使ったコミュニケーションのこと。人間であれば、会話がもっともよく使われているコミュニケーションです。動物であれば、威嚇するときは唸り声をあげます。オスの鳥がメスの鳥を探すときは、求愛のさえずりをします。生物は言葉や音を使って、相手とコミュニケーションをとります。これが、言語コミュニケーションです。

それでは問題です。バーバル(言語)コミュニケーションとノンバーバル(非言語)コミュニケーションのうち、どちらが相手に伝わりやすいと思いますか? 正解はノンバーバル(非言語)コミュニケーションのほうです。心理学の研究で「メラビアンの法則」というのがあるのですが、これは感情や態度など、矛盾したメッセージが発せられたときの受け止め方について研究し、導き出された法則です。

アメリカの心理学者である、アルバート・メラビアン氏によると「表情は笑っているが、発する言葉は怒っている」などの矛盾したコミュニケーションメッセージが発せられたとき、人間はノンバーバル(非言語)コミュニケーションである視覚情報をもっとも重視し、行動に影響を及ぼすと言われています。

コミュニケーションを視覚情報(表情、目線、身だしなみ、身のこなし等)、聴覚情報(あいさつ、声のトーン、言葉遣い)、その他(話の内容等)の3つに分けると、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、その他(話の内容等)はわずか7%の影響しか及ぼさないという、実験結果が出ています。

つまり、言葉ではすごく良いことを言っていても、表情や目線、声のトーンや言葉遣いが悪ければ、相手にはネガティブな印象を持たれてしまうのです。日常生活・仕事時の意思疎通などは、半分以上がノンバーバル(非言語)コミュニケーションが主体となっています。

うまくコミュニケーションがとれない、あるいは心のすれ違いが起きるのも、ノンバーバルコミュニケーションが影響を与えている可能性が高いのです。言葉よりも大切な表情、仕草、身だしなみ、そして笑顔を心がけて、周りの人と接してみましょう。そうすることで、きっとコミュニケーションも円滑にいくはずです。

 

<プロフィール>
大儀見浩介大儀見浩介(KOSUKE OOGIMI)

メンタルトレーニングコーチ。㈱メンタリスタ代表取締役。
サッカー選手として、東海大一中時代に全国優勝を経験。高校ではサッカー部主将として鈴木啓太(浦和レッズ/元日本代表)とプレーした。東海大学体育学部・高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育メンタルトレーニング、受験対策、ビジネスメンタルなど、様々な分野でメンタルトレーニングを指導している。テレビ・新聞・雑誌出演多数。著書に「C・ロナウドはなぜ5歩さがるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング」「ヤングアスリートのための36のメンタルトレーニング」「心理戦術が日本サッカーを進化させる」がある。妻はなでしこジャパンの大儀見優季。http://www.mentalista.jp

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