ジャニーズ
人気コミックを実写化した『曇天に笑う』が公開中。主演の福士蒼汰をはじめ、桐山漣や古川雄輝、中山優馬など、人気若手キャスト大集合の注目作! メガホンを取った本広克行監督に、制作秘話を伺いました。
──上映時間が短め(94分)で、かつシンプルなストーリーラインになっていますが、構成のこだわりを教えてください。
「かっこいい男の子たちがたくさん出てくるので、女性に見てもらえるアクション映画を目指しました。アクション映画は長いと(見るのが)しんどいので、90分ぐらいの長さで、見終わった後に爽快感があって、かつ愛のあるストーリーにしようと。特に兄弟愛をしっかり描いて、90分間を走り抜けました」
──天火(てんか・福士)の少年時代を、弟・宙太郎役の若山耀人さんが演じての追加撮影もされたと伺いました。
「普通はクランクアップしてから追加撮影ってありえないんですよ。予算もオーバーするし、僕がプロデューサーだったら絶対にイヤです(笑)。ただ、シンプルさを意識するあまり削りすぎたところがあったので、この回想はどうしても入れるべきだなと、アップ後に考え直して。「BBQパーティーやるよ」と、自宅にスタッフみんなを呼んで、そのまま説得して自宅の稽古用スペースで追加撮影を敢行しました。撮ってみると全員が「確かに、これはあってよかった」と言ってくれましたね。この映画は企画からクランクアップまで2年ぐらいかかっていて、その間に、製作陣に赤ちゃんが生まれたり、耀人くんも背が10cmぐらい伸びたり。成長した耀人くんは、どことなく面差しが福士くんに似た雰囲気があったこともあって、ちょうどよかったというか。追撮の回想シーンでは、天火を耀人くんが演じて、そのシーンでまだ赤ちゃんの空丸や宙太郎役には、スタッフの赤ちゃんを起用しています」
──冒頭シーンでは、ももいろクローバーZ(百田夏菜子・玉井詩織・佐々木彩夏・有安杏果・高城れに)<注:撮影当時のメンバー構成>が友情出演。なんとも贅沢な起用のしかたでしたが、決まった経緯は?
「僕がももクロの番組に出させてもらった時に、マネージャーさんからカメオ出演の提案があって、本人たちに聞いてみたら「出る出る~!」って言ってくれたんです。最初は、メンバー全員となるとみんな忙しいなかで大変だし、2人ぐらいかなと考えていたんですが、「いや、全員で行きます!」と言ってくれたので、全員分の役を用意しました。ただ、あんまり、彼女たちに目がいくようでは困るので、エキストラさんみたいに後ろでバタバタしてもらいました(笑)」
──福士さんのエピソードは「TVstation」(18年3号 映画の裏側ZOOM UP)でたっぷり伺いましたが、共演陣のこともぜひ教えてください。天火の弟・空丸役の中山優馬さんの印象は?
「優馬くんはまじめで硬派。芝居は不器用だけど、常に一生懸命で、“ジャニーズの代表としてここにいるんだ”という気概を感じましたね。こちらとしては、すごくやりやすかったです。今回の現場は男性スタッフが多くて、僕らのなかに最初は男性アイドルに対して、うっすら偏見みたいなものがあったと思うんですが、それを見事に覆してくれました。スタッフみんな“優馬、優馬”ってかわいがってましたね。事務所の先輩の東山(紀之)さんも僕に“優馬はどうですか”って聞いてきてくれて。優馬くんは優馬くんで、それを聞いて“東山さんにそんな、気に掛けていただいちゃって”って恐縮して。ほほえましかったです」
──末っ子・宙太郎役の若山耀人さんは、現場でどんな様子だったんでしょうか?
「耀人くんのことは、徹底していじめました(笑)。“いい役者なら、ここでアドリブ入れてこないとな”なんて言って、台本にないことをたくさんやらせて。主にギャグですかね。ちゃんと定番の笑えるネタをやってくるし、スタッフも笑うんですけど、僕は笑わない。本人は“監督~、ウケないですよ、大丈夫ですか”って落ち込むんだけど、僕は“そうじゃないだろ、笑えればいいんじゃないんだよ。いつもスベるやつが最後、また何かやった時に、みんながぱあっと明るい気持ちになる。そういうことだろ、映画なんだから”なんて言って。難しいことを課していたと思います。耀人くんがそれでも“ハズしてる……”って寂しそうにするから、宙太郎がスベったところに後からSEで犬の鳴き声を入れたりして、映画では笑えるシーンになっています」
──三兄弟と同居する“お母さん”的な存在の白子役は桐山漣さん。難しそうな役柄でしたね。
「桐山くんは、いいものがゆっくり出てくるタイプなんですよ。決して器用じゃないんだけど、リハーサル~テストと重ねて徐々になじんでいって、最後には“出た~!”“うわ、これは艶っぽいな~!”っていう表情を見せてくれます。最後のほうになってくると、もう現場で僕から見ても怖いんですよ。怒っているのかな、機嫌が悪いのかな、と思うぐらい入り込んでいく。でも、勇気を出して(笑)話しかけると、にこっとして“あ、どうも~”なんていう感じなんですけどね」
<本広克行>
1965年7月13日生まれ。香川県出身の映画監督。テレビドラマや舞台の演出も手がける。1992年にドラマ「悪いこと」(フジテレビ/共同テレビ)で監督デビュー、1996年の「7月7日、晴れ」で映画監督デビューを果たす。主な監督・演出作品に「踊る大捜査戦」シリーズ(1997年~フジテレビ)、映画『亜人』(2017年)など。
<作品紹介>
『曇天に笑う』
公開中
2018年/日本映画/監本広克弘 原唐々煙(マッグガーデン刊) 脚高橋悠也 歌「陽炎」サカナクション出福士蒼汰、中山優馬、古川雄輝、桐山漣、大東峻介、小関裕太、市川知宏、加治将樹、若山耀人、東山紀之 配松竹
(C)2018映画「曇天に笑う」製作委員会 (C)唐々煙/マッグガーデン
<本誌の関連記事>
・ 18年5号 CINEMAインタビュー 福士蒼汰
・18年3号 映画の裏側ZOOM UP『曇天に笑う』