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メンタルトレーニングコーチが教える「自分の心をコントロールする方法」

その他 2014.05.20

みなさん、こんにちは。メンタルトレーニングコーチの大儀見浩介です。私の仕事はアスリートやビジネスパーソン、学校の先生や生徒、保護者の方々など、あらゆる人達の心理面向上のお手伝いをすることです。

心はトレーニングで強くなります。血液型とか兄弟の何番目だからなどとは一切関係がありません。だれでも、心理面向上の知識を身につけ、筋力トレーニングと同じように毎日続けることで強くなるのです。

現在は主にスポーツの分野で取り入れられているメンタルトレーニングですが、始まりは宇宙飛行士用のトレーニングでした。想像してみてください。宇宙船という閉ざされた空間で、長い間過ごしていくためには、相当な精神力が必要となります。そこで、スポーツ心理学の学術的背景のもと、合理的・系統的・科学的にトレーニングする目的で研究・開発されたのがメンタルトレーニングです。

メンタルトレーニングには、主に8つの心理的スキルがあります。

1:目標設定
2:リラクセーション&サイキングアップ
3:イメージトレーニング
4:集中力
5:プラス思考
6:セルフトーク
7:試合(本番)に対する心理的準備
8:コミュニケーション

それではここで質問です。あなたは「やる気を出せ」と言われたことはありませんか? やる気を出せと言われたとき、何をしましたか? 大きな声で返事をしたり、背筋を伸ばしたり、作業のスピードを上げたり……。やる気を出すための仕草や行動があると思います。でも、ちょっと待ってください。そもそも「やる気」ってなんでしょう? やる気とは「できそうだな」「やれそうだな」と感じる気持ちのことを言います。たとえば、テストでいつも50点しかとれないとき。先生に「次のテストで100点を取りなさい」と言われたらどう感じますか? 「できそうだ」と感じられる人はまずいないと思います。そこで、「今回のテストは50点だったから、次は55点を目指してみよう」と言われたらどうでしょうか。プラス5点であれば、あと1つか2つ正解すれば、とることができます。「55点ならできそうだな」と思うのではないでしょうか。「できそうだ」と思って勉強するのと、「どうせ無理だよ」と思って机に向かうのとでは、学習の効率も違えば、成果も違います。この「できそうだな」と思う気持ちこそが、やる気なのです。

では、どうすれば「やる気」を高めることができるでしょうか。そのためのスキルが、8つの心理的スキルのその1「目標設定」です。

心理学の研究で、人間のやる気がもっとも高まるときはどのような状態かを測定しました。その結果、現在の数値の110%を目標とすると、もっともやる気が高まり、成績も向上するというデータが出ました。テストの点数でいうと、先ほど例に上げた「50点を55点にする(1.1倍)」という状態です。これを「最適な目標水準」といいます。

110%の目標を越えて、120%、130%とすると、ガクっとやる気が低下していき、結果にも結びつかなくなります。さらに、目標がない状態は、高過ぎる目標を立てた時よりも低い数値が出ました。つまり、目標がない状態は、結果に結びつかないのです。

やる気とは「できそうだ」「やれそうだ」と感じる気持ちです。それを自分で作り出すために、最適な目標をたてることがポイントになります。スポーツの一流選手やトップビジネスパーソンは、自らやる気を高めることが上手です。「なんか最近やる気がでないな」と感じる人は、目標が高過ぎることが原因かもしれません。あるいは、目標がない状態かもしれません。もう一度、目標について、目を向けてみてはいかがでしょうか。自分にとって最適な目標をたてることができたなら、やる気も高まっていくはずです。

次回は「目標をたてたのに、なぜ途中で挫折してしまうのか」について、話をしたいと思います。

 

<プロフィール>
大儀見浩介大儀見浩介(KOSUKE OOGIMI)

メンタルトレーニングコーチ。㈱メンタリスタ代表取締役。
サッカー選手として、東海大一中時代に全国優勝を経験。高校ではサッカー部主将として鈴木啓太(浦和レッズ/元日本代表)とプレーした。東海大学体育学部・高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育メンタルトレーニング、受験対策、ビジネスメンタルなど、様々な分野でメンタルトレーニングを指導している。テレビ・新聞・雑誌出演多数。著書に「C・ロナウドはなぜ5歩さがるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング」「ヤングアスリートのための36のメンタルトレーニング」「心理戦術が日本サッカーを進化させる」がある。妻はなでしこジャパンの大儀見優季。http://www.mentalista.jp

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