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AKB48グループ総監督を務めた高橋みなみが、自身の25歳の誕生日を迎えた4/8に、東京・AKB48劇場にて卒業特別公演を開催し、AKB48のメンバーや、前田敦子ら卒業生に見送られ、3775日間のAKB48での活動に終止符を打った。
以下、公演後の囲み取材での高橋の談。
――最後の劇場公演を終えて
今日のリハーサルの時に初めて、卒業するんだと思って。頭から泣いちゃいましたね。横浜スタジアムでの卒業コンサートでは、皆さんに感謝を伝えること、会場も広いので自分の身体も小さいので大きなパワーを届けなければという気持ちが大きくて、楽しい気持ちが前のめりでした。でも、劇場というホームに来て、250人のお客さんと向き合ってしまうと、どうしても10年前の自分に戻ってしまうというか。これだけホームだった場所にもう帰れなくなるという寂しさを感じてしまって。これが最後なんだな、卒業生が歩んできた道なんだなと思いました。
今回の卒業公演は特別公演にさせていただきました。通常の卒業公演だと、今までいたチームの公演の演目プラス卒業曲4曲ぐらいなんですが、昨年末に自分のチームを解散させてしまっていたので秋元康先生に相談したところ、特別公演じゃないのか、自分のやりたいことをやった方がいいんじゃないのかと言ってくださったので、自分のやりたい曲でセットリストを組ませていただきました。最初にアカペラでどうしても「桜の花びらたち」を歌いたいと言ってリハーサルをしたんですが、ふと無音のなかで、お客様の席を見た時に(感極まって)、これは歌えないなと思いました。メンバーにも言われましたね、「(泣くのが)早いよ」と(笑)。
自分で楽曲を選ばせていただいたからこそ、やりきれましたね。もう劇場でやりたい曲はないっていうぐらいだったのはよかったなとは思うんですが、自分で選ばせていただいた分、お客様の反応は気になりましたね。皆さん、受け止めて楽しんでくださったので、やっぱりこれこそホームだな、何をやっても許してくれるのが劇場だなって思いました。そのセットリストはすごく悩みました。最初は“たかみな・やり残した公演”として、今までやったことのないユニット曲とかを並べてみたんですが、これは最後にはふさわしくないなと思いまして(苦笑)。やっぱり1期生として劇場公演の演目を6個経験できたっていうのは、すごく大きな宝だと思うので、一度、歴史として振り返って前に進むのは大事かなと思って。劇場公演だからこそ、ホームだからこそ許される楽曲かなと思って、公演タイトル曲を並べてみました。「目撃者」公演では、私がチームAのキャプテンをやらせていただいた高橋チームAのメンバーを招集させていただきました。懐かしい景色や、最終曲の『桜の花びらたち』で私の隣に前田敦子がいることとか……一瞬であの当時の空気感に戻れるのはすごいことだなと思いましたし、何かあった時に来てくれるのは“仲間”だなって思いました。
――AKB48での10年を振り返って
この10年間では、遊び心を持てるようになりました。ずっと持てなかったんです。舞台に立つということは、ある意味、生ものですから、真剣に向き合わなければいけないし。面白くなかったら笑ってくれないし。あくびをするお客さんの顔も見えてしまうぐらい、ステージから客席まで距離が近いので。そこに向き合うということを真剣にやりすぎて遊び心が持てなかったんですけど、ここ3年ぐらいはもっと楽しんでやっていいじゃないかな、と。250人のお客さんにだけお届けするって面白いことだと思いました。後輩たちも必死にやりがちなんですけど、ステージに立つ時に一番大切なのは楽しむことなんだなっていうのは思いました。
10年前の自分には、まず髪型を変えてっていいたいですね(笑)。ファンの方に覚えてもらえるように、かたくなにハーフアップにしてたんです。髪型を自由にするようになって、自分の幅も広がったんですよね。どうしても自分はこうだと、私自身が思いがちなんですけど、相手が言ってくれることを信じて のっていくのも大事なんだなと思いました。もっと柔軟に!って当時の自分に言いたいですね。
AKB48劇場で学んだことは多すぎます。でも、ファンの方あっての自分たちなんだなというのが、一番分かりました。お客様が7人の頃から客席を見ていたので、それが人生の糧になりました。満員になることが当たり前のことではないので、いつか自分が劇場に見に来た時も、満員であってほしいなと思います。
AKB48劇場は、ホーム、家です。学校です。たくさん、普通の学生生活では学べないことを学ばせてもらいました。青春のすべてがあの場所であったと思います。 (最後に床をなでたのは)二度と劇場公演という形では、あの板を踏むことはなくなってしまうので、一つ一つの傷を見ると、10年の歴史を感じてしまって、思わず触ってしまいました。ありがとうという気持ちで。
自分のなかでは、1期生の小島陽菜と峯岸みなみを残していくことが心残り。10年のプランのなかでは、私よりも先に2人は卒業しているものだと思っていたので。ただやっぱり、いろいろ、坊主になったりとか(苦笑)、何があるか分からないんですよね。キャラの濃い2人が残ったなと思いながら、自分が先に旅立つわけになりましたが。2人が卒業する時には、呼ばれたら行きたいなと思います。
今日、劇場の自分の写真を取る時に分かった10年目の真実なんですが、壁掛けなのでフックだと思っていたら、マジックテープだったんです。それがビックリしました(笑)。(壁掛け写真は)本人がもらえるんですか? 遺影みたいになりません(笑)。自分の写真を持って自分を持った時に遺影みたいだなと思ったんです。自分の写真を外す抜ける瞬間は、『たかみなが死んだ』と、終わったなと思いました。
――AKB48グループの後輩たちへ
今日の公演では後輩たちに、あまり言わなかったですね。伝えるべきことは卒業発表からの約1年の猶予のなかで伝えられたかなと思います。自分の卒業ソング「背中言葉」じゃないですけど、背中で、姿勢として見せられればいいと思ってきたので、あえて今日は言葉は言わなかったです。最後、後ろを振り返って、ありがとうと言ったのが唯一だったかもしれません。誕生日だったので、4/8の0時にいろんなメンバーからたくさんのメールをいただきましたね。『卒業なんですね、寂しい』って言われて。そう言われるのはうれしいことだなと思いました。
後輩たちには過去にとらわれてほしくないんですよね、やっぱり。10年積み上げてきたものに乗せていくんではなくて、11年目の新しいスタートなのでみんなで、楽しく! この『楽しく!』が一番大事ですね。楽しく、AKB48を愛して作っていってほしいです。総監督を受け継いだ横山由依には、11年目という大変な時期に総監督を背負わせてしまうのは大変だけど、総監督ということで名前を知っていただく機会にもなりますし。不器用なところもありますが、そういうところが周りのメンバーも一緒に頑張ろうと思わせてくれるので、自分らしく楽しくやってほしいです。
――皆様へのメッセージ
私は秀でてる才能がないなと思ってます。歌が、ダンスがすごくうまいわけでもないですが、なければないなりに努力すれば言いということをAKB48で学びました。これから一人になって苦しい時期もあると思うんですけど、ゆっくりゆっくりAKB48で10年かけて成長できたように、学んでいきたいなと思います。秋にはたくさんのアーティストの方々に楽曲を書いていただいてアルバムを作ることができるので、音楽でも届けられる女性になりたいです。本当にあれだけ人数のメンバーがいるなかで、私を選んでくださってありがとうございます。48グループを10年、ファンの皆さん、スタッフの皆さんがいろんな形で支えてくださっていて。本当に素晴らしい環境だと思います。死ぬほど忙しい時期に感謝の気持ちを忘れていた自分がいたのが、悔やんでいること。当たり前に仕事があるって思っちゃいけないなと改めて思います。後輩たちにもたくさんの方々に感謝の気持ちを込めながら、頑張っていってほしいなと思います。これからも48グループの応援もよろしくお願いいたします。本当に10年間ありがとうございました。