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上川隆也演じる風変わりな刑事・糸村が事件をひも解く「遺留捜査」が、11年の開始から初めて、2週連続スペシャルで放送される。1週目[11月24日(日)後9時放送]は“コロッケ”と“宇宙”という、かけ離れたキーワードから殺人事件に秘められた切ない真相が明らかに。その興奮も冷めやらぬまま、2週目[12月1日(日)後9時放送]の舞台は天橋立へ。ある“古ぼけた鍵”が、まさに事件を解く鍵となり、糸村の信頼する相棒が絶体絶命のピンチに!?
――スペシャルドラマ2週目では、シーズン1からの同僚・村木(甲本雅裕)が、とある危機を迎えます。それに際し、いつもの飄々(ひょうひょう)とした糸村とは違う一面も見ますが、どんなことを考えながら演じていたのでしょうか?
最初に思い出したのは、月島中央署時代の同僚・長瀬(田中哲司)の殉職シーンがあったシーズン2・第5話(2012年放送)でした。あれは、その後の糸村に大きく影響を与えた1話だったと今でも思っているのですが、あの瞬間に糸村が感じていたことが、今回大きく影を落すスペシャルになると感じました。
そのエピソードでの糸村は、普段の彼ではない振る舞いを見せました。僕は、糸村はもともと自分に対する評価には興味がないのだと思っていて、例えば、自分が遅刻しても「お構いなく」と言って、それを他人にどう受け取られるかには特に関心がない。しかし、今回の村木さんのケースでは、糸村はどうするんだろうと逆算して、長瀬さん殉職の時の思いをつらつらと考えながら演じさせていただきました。
やはり、これまでいろんな形でお届けしてきたエピソードの中でも、このスペシャルでは、また少し違う要素が糸村に加わったという実感が間違いなくあります。
――村木は、糸村にとってどんな存在であると思いますか?
糸村って、「僕にとって村木さんは、こういう人」という思いに至るような人ではないんです。分かりやすく“同僚”であるとか“気の置けない間柄”という言い方もできると思うのですが、「かくかくしかじか、こういう人です」というような説明は、いまだにできないんじゃないかと。けれども、間違いなく村木さんは彼の大事な仲間であり、その認識はこれからも変わらないでしょう。
――上川さんが長い期間演じ続けている糸村聡という人物への思いを、改めてお聞かせください。
糸村というのは履歴の書けない男なんです。僕にとっても、彼がどこに住んでいるか分からないままの9年間で、根がないものですから、成長のさせようもないというか(笑)。その、人が本来持っているべき根っこの部分がごっそり抜けて描かれた人間という特殊性が、彼を長く演じていることの実感を虚ろにさせます。でも同時にそれは、常にワクワクしながら毎回新鮮に演じられるということでもあります。
――役作りの段階で、台本に描かれていない部分を想像して、自分で“履歴書”を作る俳優さんも多いと聞きますが、上川さんの役作りの段階ではいかがでしょうか。
やっていないんです。彼は(番組開始の)11年4月期にポッとこの世に現れた存在。キャラクターとしての過去を探ることはしなくていいと思ってやってきましたし、むしろそのほうが僕は糸村と寄り添いやすいんです。
彼の装い、自転車や肩掛けカバンといったアイテムは、最初の衣装合わせの際に監督との話し合いで生まれたもので、刑事らしい刑事像が想像しにくいスタイルが糸村の出発点だったんです。「自動車警ら隊でもないのに白い自転車に乗っているのはどうか?」、「スーツで現場には行くけど、いろんなものが入れられるように、こういうカバンにしようか?」とか、そうした発想の積み重ねでした。ヘッドホンなどは、僕の提案です。糸村はきっと、その衣装合わせの段階で生まれた人物なのかも知れません。彼の過去を探らなくてもいいのだと、ある意味割り切ることのできた瞬間だったのかもしれません。
【番組情報】
「遺留捜査 新作スペシャル1」11/24(日) テレ朝系 後9時~11時05分
出演/上川隆也、栗山千明、永井大、宮﨑香蓮、梶原善、甲本雅裕、戸田恵子
[ゲスト]南野陽子、田中美奈子、濱田マリ、橋本さとし、マギー
「遺留捜査 新作スペシャル2」12/1(日) テレ朝系 後9時~11時05分
出演/上川隆也、栗山千明、永井大、宮﨑香蓮、梶原善、甲本雅裕、戸田恵子
[ゲスト]宇梶剛士、石丸謙二郎、真飛聖、酒井美紀、相島一之
(C)テレビ朝日