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宝塚歌劇団を卒業後、声優、役者、アーティストとして活躍の幅を広げてきた、七海ひろきさん。本誌10号(4月22日発売)では、その充実した“今”の姿も映り込む、1stフルアルバム『KINGDOM』についてインタビューを掲載。本誌ではお伝えし切れなかった、新作に懸ける熱い思いを、特別インタビューとして公開します!
――卒業されてちょうど1年という3月24日に生配信された「HIROKI NANAMI 1st ANNIVERSARY TALK&LIVE」は、いかがでしたか?
不思議な一体感があって気持ち良かったです! 正直、リハーサルの時点では「大丈夫かな」って心配でした。ライブ会場では、お客さまと一緒に盛り上がって、舞台を作るように別世界に入り込むことができるのですが、やはりスタジオでカメラに向かっての作業は、なかなか慣れなくて……。でも、本番が始まると、スタッフさんがリアルタイムに視聴者さんのコメントを伝えてくださったし、皆さんが、どんなふうに楽しんでくれているか想像しながら、ライブができたので、とても楽しく歌えました。
配信後に、何千、何万というコメントを読み返させていただき、離れていても、一緒の時間を共有できていたんだと実感しました。バンドの皆さんが、私を一人の仲間として迎えてくださったことも心強くて。その温かい空気感も、きっと画面を通して伝わっていたと思います。
――今回のフルアルバム『KINGDOM』のリード曲「花に嵐」。歌詞の“サヨナラだけが人生だとしても”は、宝塚ファンにとって、ある実感を持って受け止められる言葉だと思います。そこからの“夢の続きを見に行こう”というメッセージに惹かれました。
歌詞としては、作品の“裏設定”の物語に寄せて書いたところが大きいのですが、確かに「サヨナラの後にも、必ず何かいいことがあるよ」という思いが届けられていたらいいですね。
私自身、宝塚時代から変わらずに応援してくださる方も、そして、退団後から好きになってくださったという方もいてくださるのが、今、本当にうれしいです。実は、とてもドキドキして歌っていました! 新曲を初披露ということで、普段は、めったに緊張しない人間なのですが、なぜか急に「皆さんは、まだ歌詞もメロディも分からないまま、この音楽を聴くんだ」って思ってしまって(笑)。
――ファンの方たちと同じように、ドキドキされていたんですね。
そうだといいですね。これまでの感謝と、これからの意気込みを伝えるには、とてもいいアルバムになったので、その中から「KINGDOM」と「ラビリンス」も披露できたことがうれしかったです。
もともと記念日に何かやりたいと考えてはいたのですが、ライブ配信という形をとったことで、改めて、3月24日(宝塚歌劇団を卒業した日)は、私にとって特別な日なんだと思いました。
――全曲、ご自身で作詞している今作。聴き手に直接語りかけるような距離の近さも、七海さんの音楽の魅力だと思います。作曲も手掛けられた「愛し君へ」の“お前”という言葉が新鮮でした。
デビューミニアルバム『GALAXY』で、初めて書いたラブソングが「片思いの君へ」という曲でした。その曲とも世界観がつながっているのですが“僕のラブソング”を作ったら、次は“俺のラブソング”だな、と。「俺」さんは、恋人を「お前」って呼ぶかなぁ?という……すごく単純な話で、ごめんなさい(笑)。
――そういった曲の作り方も、男役として様々な男性像を演じられてきたからこそですね。
英語なら「I」と「YOU」。でも、日本語ではいろんな表現になります。歌詞を書いていく中で、そういう自分たちの言語の面白さにも触れられましたね。
――ところで、3月24日の生配信の中で「退団後、自分で自分のことがよく分からなくなってしまった時期もあった」と打ち明けられていましたが、そんな迷いを経たからこそ、生まれた曲もありますか?
「宝塚歌劇団の七海ひろき」ではない、「無印の七海ひろき」になったとき、自分とは何者なのか考えたことがあって。ただ、はい上がれないくらい落ち込んだという話ではないので、皆さん、心配しないでくださいね!(笑) 退団した年の8月にアーティストデビューして、私を応援してくださる「チーム七海」の力を感じられた時には、もう、とにかく“漕ぎ出すぞ!!”という思いでしかなかったから(笑)。
それでいうと、その時の心情は今回のフルアルバムに収録している「Trust」という曲が近いですね。皆さんに会えなくて、迷子になった期間があったからこそ、改めて存在が自分にとってどれだけ大切か再確認できました。
音楽を聴いて、気持ちで上がる免疫力もあると信じているので、このアルバムを聴いた皆さんが、少しでも笑顔になってくれたらうれしいです。
七海ひろき / Hiroki Nanami
03年3月宝塚歌劇団に89期として入団。新人公演で初主演を務めた後、「風と共に去りぬ」(スカーレット役)、「ベルサイユのばら-フェルゼンとマリー・アントワネット編-」(オスカル役)など代表作の大役を果たし、男役スターとして活躍。19年3月退団後、同年8月に『GALAXY』でメジャーデビュー。
発売中
New Album『KINGDOM』(通常盤)
2500円+税/キングレコード
<オフィシャルサイト情報>
公式サイト
https://hiroki773.com
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撮影/米玉利朋子 取材・文/キツカワトモ