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中居正広さんMCの「中居正広のニュースな会」(テレ朝系)山田健史プロデューサーに、番組制作の裏話や、進行中の“絵本プロジェクト”誕生の経緯などを聞きました。※本誌22号(10/14発売)の「裏方チャンネル」と併せてお楽しみください。
■中居さんの質問は常に“視聴者目線”。価値のある情報を届けることを大切に
――ニュースを伝えるほかの番組との一番の違いは?
中居さんはスタジオでまず「ウォーミングアップやキャッチボールからお願いします」とおっしゃっていて、“一緒に学ぶ”という視点で番組を進めてくださいます。スタッフも、報道班ではなくバラエティ班が担当していて、ニュース作りのプロではありません。ですから、番組スタッフもスタートは一緒に学びます。その過程で自分たちが分からなかったことを、分からないままにせず丁寧に解説するようにしています。基礎目線を大事に、普段ニュースを見ない視聴者の方の目線にも寄り添える、番組作りを目指しています。
――トピックスを選定する上で留意されていることはありますか?
一番は、生活に関係があるかどうか。例えば、先日の総裁選なら、視聴者の方は、総理大臣に“誰が”なるかということももちろんですが、誰がなったら“自分たちの生活にどう影響するか”を知りたいと思うんです。見ている方たちが知りたい情報の先に何があるかを意識して、取り上げるニュースを選んでいます。
これは中居さんも同じ考えで、「こんなネタどうかな? こういう切り口のほうが観てもらう方の気持ちに近いんじゃない?」というアドバイスも頂きます。視聴者の方に、どうしたら価値ある情報を届けられるか、それを常に考えてお話されるので、私たちも勉強になります。
■収録中、出演者全員にコメントするチャンスがくる
スタジオトークが台本から脱線した際、中居さんは面白い展開になる時にはそのまま進められますし、本筋に戻さないといけなくなったら本当に自然に戻してくださるんです。
一般的な収録では、トークが逸脱した際に、話の流れを切って無理矢理にでも台本の構成に戻すということが時々起こるのですが、中居さんの収録では、そういう場面が全くありません。中居さんがMCをされると、その流れがとてもスムーズなんです。
――中居さんのMCは誰も傷つけない優しさを感じます。
本当にその通りです。中居さんは共演者へのリスペクトも強く、ゲストの皆さんは収録後、必ず笑顔で帰られます。収録中も、出演者全員にコメントするチャンスがくるし、必ず良い方向に生かされる。その力は尊敬するとともに、制作の想像以上の内容に仕上げてくださるので感謝しています。
――劇団ひとりさんや古市憲寿さんとの掛け合いも魅力の一つですよね。
レギュラーメンバーは、それぞれポジショニングがありますが、ひとりさんは楽しく分かりやすく話してくださいます。お子さんがいらっしゃるので、ほかのお2人と違った視点を持たれているというのも強みだと思います。
古市さんは、社会学者としての斜め目線をもたれている方。「そういう考えで、この問題を見るんだ」と、新たな見方を提案してくださいます。
そして、真剣な話題の中に時々入ってくる3人の軽妙なやりとりは、この番組において、非常に大事な時間だと思っています。ずっと難しい話ばかりで肩に力が入ったままだと、観ている方も疲れてしまい番組の内容が入ってこなくなると思っています。ですので、お三方の掛け合いを見て、スッと力を抜いて笑っていただき、楽しみながら一緒に学んでいただければと思っています。
■中居さんらが主体となって生まれた「絵本プロジェクト」
――中居さん、劇団ひとりさん、古市さんによる「絵本プロジェクト」も進行されていますが、これは劇団ひとりさんがきっかけなんですよね?
そうなんです。ひとりさんが、番組で中居さんの個人事務所「のんびりなかい」のグッズを勝手に作り始め、「のんちゃん&びりーくん」というキャラクターを生み出して。それを見た中居さんが、みんなで絵本とか作ったら面白いのでは?と提案されたことがきっかけです。
その時は、その場の流れで出た番組内でのトークのひとつだったかもしれません。でも、僕はその言葉に、すごく魅かれて「実現したら楽しそう!」と思い、お三方に「本当にやってみませんか?」とお願いしてプロジェクトが動き出しました。
――その時の皆さんはどんな反応でしたか?
ひとりさんや古市さんは、ご自身も文章を書かれていますし、絵本を作るまでにどれだけのプロセスを経るのか、その大変さをよく理解されていたので「口で言うほど簡単じゃないよ?」と。それでも最終的には「面白そうだからやってみよう」と、おっしゃってくださって。参加していただく皆さん全員に「うん」と言っていただけなければ始まらないプロジェクトだったので、本当に感謝しています。
出版社をはじめ、ブックデザイナーの名久井直子さんや、絵を担当してくださった小山友子さん、出版関連のスタッフの皆さんのおかげで、半年足らずで完成までいくという異例のスピードで進められ、今年発売されることになりました。
タイトルは、中居さんが考案された「♪ピンポンパンポンプー」です。ぜひ楽しみにしてください!
――関連グッズとして発売された、中居さんの手書き署名入りのエコバッグは発売当初3分で完売したと伺いました。
番組スタッフでエコバッグ作成に関わったのは私だけで、最初に用意したのは2000枚。この数字からも感じていただけるかと思いますが、当初は「本当に売れるの……?」と、かなり懐疑的に見られていました(笑)。
ですが、中居さん、ひとりさん、古市さんが積極的に関わってくださり、ファンの方からも「待っているので作ってください」と温かい言葉をたくさん頂いて、追加制作することになりました。現在までに5万枚近くのご注文をいただき、好結果につながりました。今後、皆さんの期待にお応えできるよう、ほかの関連グッズも出す予定です!
エコバッグだけなく、中居さんをはじめ、出演者の方は番組作りに積極的で、内容にもいろいろ提案してくださいます。私の経験上、出演者の方がこんなに主体的に番組に関わってくださるのが初めてで、本当にありがたいです。
――「中居正広のニュースな会」で、次に挑戦してみたいことはありますか?
まずは、絵本プロジェクトをどう派生させるか。また、スタジオトークの中で、ひとりさんが冗談半分で「のんびりーランド」を作ろうとおっしゃっているので、それも挑戦したいですね。今年はコロナの影響で開催できませんでしたが、テレビ朝日は毎年、夏にイベントをしているので、次の夏には何か新しいことに挑戦できたらなと思っています。
<プロフィール>
山田健史(やまだ・たけふみ)
1982年生まれ。07年テレビ朝日入社。スポーツ局を経て制作部へ。9月に放送された中居MCの「どうぶつな会」も担当。
中居正広のニュースな会
テレ朝系 毎週(土)後12時 ※一部地域を除く
Twitter @news_nakai
テレビ朝日公式YouTubeチャンネル「動画、はじめてみました」内で“絵本プロジェクトの歩み“を連載企画として配信中。第1話はこちらから⇒https://www.youtube.com/watch?v=iSLc98f7X8w
取材・文/高山美穂