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直情旅日記
時には日常の向うへまっしぐらが好きな人へ

[2]シドニーで、見切り発車のブーケ作り

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随分前のことですが、一緒にフラワーアレンジメントを習っていた友人Yが、大好きな街シドニーで挙式することになりました。私は参列がてら、花嫁が手に持つブーケを作らせてもらうことに。

「ブーケ作って!」に「いいよ!」と快諾したものの、それは生花を現地調達し、式の前夜に自力で作ること。2年ほど習っていたのは花器に飾るアレンジであり、ブーケは未経験でした。それから付け焼き刃で練習を重ね、現地の花屋を事前に検索(ネットで検索できる情報がまだ少ない頃でした)。
Yがどんな花が好きかはよく知っています。まあなんとかなるでしょう。

挙式2日前、涼しい夏を迎えた12月のシドニーに飛びました。
着いたらまずは、花屋を探すミッション。ホテルの乾燥した客室でも生花の鮮度を保つため、この日はいくつかの花屋に目星をつけるだけで、実際に買うのはギリギリ挙式前日の夕方にしようと決めました。

花屋にもお国柄が出まくりです。ブーケのメインはしっとり落ち着いた白いバラにしたいのに、飛び込んだ店先に並んでいる花は、赤やピンクやオレンジばかり、そして私が使うにはとにかく大き過ぎます。派手な鳥のような花は面白いけれど、初心者にアドリブは無理。
そして隙間をちょこちょこ埋める小さなグリーン(葉っぱ)が欲しいのに、あるのは長さ1mクラス。ヤシの葉の前で途方に暮れ、「2〜3cmの葉っぱはありませんか?」と何人かの店員を困らせました。
それでもこの日、5つの花屋を巡り、バラを買うのはここ、その他のグリーンはここかここ、と決めて目処が立った気になりました。

挙式前日。夕方までに、メインにするバラを購入できました。日本だと湿らせたティッシュとアルミ箔で保水処理してくれますが、ここでは切りっぱなしの茎を束ねず、がばっとセロハンでまとめられたのみ。握った手の体温でみるみる花が弱っていくので、急いでホテルに戻り、日本から持参した自作バケツの中で水揚げ作業。これは2Lペットボトルの上半分を切り取り、切り口をテープで保護したものです。

それから、残りの小さな花とグリーンを買うため別の花屋に向かうと、なんと2店とも、前日聞いた閉店時間より早く店じまいしていました。もう他にはあてがなく、急にどん底。ああ、日曜夕方を舐めていました。こんなことなら昨日からどんどん買っておけば良かった、午前中海辺をちんたら散歩していた私のばか。

日が落ちても諦めきれずやみくもに歩き回っていたところ、キラキラと輝く五つ星ホテルの前を通りかかったので、思い余ってそこのコンシェルジュに相談してみました(コンシェルジュに相談してよいのは宿泊客だけですが)。
明日の友人の結婚式のブーケを今夜自分で作るための花材が不足しています、助けていただけませんか、という説明にコンシェルジュ氏は親切に耳を傾け、それからカタカタ端末を叩いたり、地図を広げて考え込んだり。
「私の知る花屋は日曜はたいてい6時閉店ですが…
この近くのこの角にある花屋は6時半まで開いてます、
ああ、でも今6時半になりましたね」
カタカタカタ…
「明日の朝では間に合いませんか?
9時半に開店する花屋がこの近くにあるのですが」
と、しばし頭をひねって考えてくれました。そして最後に、
「I’m terribly sorry」。
いえいえこちらこそと恐縮しつつ心から感謝。そしてこれですっきり諦めがつきました。

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結局、現地調達で使えたのはバラのみで、バラの背後に写っているグリーンは大き過ぎました。手前に積んである葉や実は、万一バラしか買えなかった場合の「保険」として日本から持参した造花です。できれば全部生花で作りたかったけれど、やむなくこれらを総動員することに。造花を持ってきた私、えらい。

その夜遅くまでかかって、ブーケと髪飾り、新郎の胸飾りが完成しました。拙い出来で、そして生花100%でないけれど、気に入って貰えるだろうか。不安なまま翌朝届けたところ、優しいYは涙目で喜んでくれました。彼女もまた、かつてハワイで同じようにブーケの花材探しをしたことがあるので、よくよくわかっているのです。

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挙式での新郎新婦は本当に綺麗でした。シドニーで見つけたアイボリーのバラが、シンプルなウェディングドレスとYをよく引き立てていました。ブーケを作らせてもらえて、良かったなあ。花探しにドタバタしたのも含めて、幸せな思い出です。