自分なりの目的、自分なりのツボで旅を楽しみたい人へ
◆ [2]意外と一番盛り上がるメシハズシ。なにごとも愉しめるのが旅なのだ。
旅先で食事の選択を失敗すると、とても落ち込むし一日中後悔するし、人と一緒の時は決まって空気が悪くなる。しかし意外とこのメシハズシ、印象に残る上にあとで人に話すと盛り上がるのだ。
海外で何かを食べるとき、美味しいものに出会えたと思いたい、という気持ちもあってか、日本にいるときと比べて評価が甘くなる。ただ、それでも認めざるを得ない外し方をすることもある。
ベルギーのブリュッセルは美食の街とも言われるが、食の選択肢はそう多いわけではない。初日にいわゆる名物料理を制覇してしまい、二日目。何を食べようか迷った挙句、市庁舎にほど近い老舗レストランに入った。
とても立派なレストランだ。メニューはフランス語しかなく、かろうじてわかる単語を元にいくつか注文をした。一つはワーテルゾーイというベルギーの郷土料理で、鶏肉のクリーム煮のようなもの。あまり美味しくないとは聞いていたが、ちゃんとしたお店だし周りの人が食べているものも美味しそうだからきっと大丈夫だろうと注文してみた。
ウェイターが仰々しく運んできたワーテルゾーイの大きなお皿、見た目は美味しそうだった。一口食べて閉口した。何をどうやったらこんな味になるのかと思うようなクリーム感。ミルキーを溶かしたような味だった。
もう一品は何かの脳みそのバターソテーだった。なんというメニュー、これがメインはきつい!と思っていたら二品目が運ばれてきた。あれは前菜だったのか。
そしてそのメインというのが鶏肉のフリカッセだった。味は違うがまたも鶏肉のクリーム煮!
隣のテーブルの方が食べていた、牛肉を焼いただけのものがとてもうらやましかった。

<ブリュッセルの「ワーテルゾーイ」>

<バーミンガムのタイ料理レストランの揚げ物盛り合わせ>
ロンドンは昔と違って食のレベルが高い。選択肢も多く、安くて美味しいものもあるし、高くて美味しいものもある。
しかしイギリスの地方に行くとまだまだメシハズシ率は高い。バーミンガムの近代的なショッピングセンターに入っていたおしゃれなタイ料理レストラン。
タイ料理だし、店構えからして外す気はしなかった。ランチメニューにはいくつかの選択肢があって、二人で別々のものを注文した。
説明は一応読んだのだ。読んだのに、想像とはまったく違うものが登場した。お皿の上が同じ色のものばっかり。さらに揚げ物ばっかり。それが二人とも。
数人で一皿注文するような揚げ物盛り合わせが一人一皿だった。
真冬のコペンハーゲン-4℃の中、凍えながら入ったレストランで、北欧らしくビュッフェスタイルのディナーを注文したら、すべてコールドミールだったこともあった。
ああ魅惑のメシハズシである。