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手づくり海外旅行
自分なりの目的、自分なりのツボで旅を楽しみたい人へ

[1]横断幕を作ってサッカー観戦に遠征するワケ

幕

ここ10年、私が海外に行く目的のほとんどはスポーツ観戦である。サッカー、フィギュアスケート……。観光が目的の場合でも日程を調整してサッカー観戦を織り交ぜたりしている。
海外でのスポーツ観戦はどれもが思い出深く、良いことも良くないこともあったが、結局は行って良かったと思うのだ。ただ、これまでに一つだけ、行かなくても良かったかもしれない遠征があった。それは2006年ドイツW杯である。

きっかけは友人にFIFA公式サイトでのチケット申し込み方法を教えて欲しいと頼まれ、試しにポチったことだった。無欲の勝利か見事日本の3試合が見られるチケットが当選してしまった。そうかじゃあ行くか、というぐらいの気持ちで準備を始めた。
3試合すべて観戦すると滞在が長くなるため、初戦だけ見ることにして、残りの二試合分のチケットは知人に譲り、浮いたお金で他国の試合のチケットを購入した。
渡航が近づき、もう少しこの旅に何か意味を持たせたいと思い始めた。そこで、一番応援していた遠藤保仁選手の小さい横断幕を作ることにした。突然思い立ってのことなので、飛行機や列車の中でもチクチクと針作業をする羽目になったが、このような、応援グッズという動機は、あるとないとでは試合に向けての気持ちが違うものだ。

ドイツに入り最初に観た試合はライプツィヒで行われたオランダ対セルビア・モンテネグロ。試合のことはほとんど覚えていないが、横断幕をどこに貼ると良いかということだけはチェックしてきた。
そしていよいよ日本の試合。ど田舎のカイザースラウテルン。駅からひたすら坂を上り、スタジアムに入ってまたひたすら階段を上る。満を持して横断幕をゴールの後ろに貼った。シュートを打つ選手、さらに遠藤選手が居るであろうベンチからも見える場所だからだ。
結論から言うと遠藤選手は試合に出なかった。結局W杯が終わるまで1試合にも出なかった。そしてその試合、日本は完敗した。初戦であの負け方はなかなか応えた。

さらに帰りのすし詰めの列車が途中で止まった。かなり長い時間止まっていた。ドアの前でつぶれそうになりながら立っていた日本人の男の子が自分を励ますようになにかつぶやいていたのを覚えている。
一つだけ良かったことはあった。わたしの横断幕がテレビに何度も映っていて、友達が喜んでくれたことだ。
改めて振り返るとこの旅は、逆に印象深いものになっていた。
(山内純子)

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