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◆ 国分寺崖線―西国分寺から国分寺まで
国分寺崖線とは数万年もの昔、武蔵野台地を古多摩川が浸蝕して段丘ができ、たくさんの湧水が水の染み出る崖となったもの。
この水が染み出る崖は「はけ」と呼ばれる。大岡昇平の小説『武蔵野夫人』のヒロインが「はけ」に住んでいたことでこの名称がよく知られるようになった。周辺にできた雑木林は国木田独歩が『武蔵野』で絶賛したものだが、今では住宅地が広がりごく一部が景観保存されているばかりだ。
JR中央線西国分寺駅から国分寺駅へ、線路の南側を一駅分歩くと美しい湧水と緑を楽しむことができる。
国分寺は駅名からわかる通り、奈良時代、聖武天皇が全国に建立させたうちの一つ、武蔵国分寺のあった所だ。都と国府(現・府中市)を結ぶに「東山道武蔵路」沿いに僧寺と尼寺造営されたという。
西国分寺駅から15分ほど歩くと市立歴史公園(史跡武蔵国分寺跡)がある。
国分僧寺は鎌倉末期に焼失。現在は国指定史跡武蔵国分寺跡として講堂跡、七重塔跡等が残るのみ。すぐそばの国分寺というお寺は江戸時代のものだ。
周辺は広大な緑地公園で、国分寺万葉植物公園などもあるが先へ進んで「お鷹の道」へ。
「お鷹(たか)の道」は江戸時代鷹場だった名残の名称。スタートは真姿の池。各所の湧水を集めた池で、ここから始まる小川「元町用水路」添いに遊歩道が整備されている。野菜や土産物の売店や茶店もあるが、あまり邪魔されずに川沿いを歩くことができる。
やがて遊歩道が終わり住宅街に出たら、都立殿ヶ谷庭園へ向かう。
国分寺崖線の段丘そのままのアップダウンがある広大な敷地で、元は三菱の岩崎家所有だったという。作庭された「次郎弁天の池」は湧水を貯めてつくられた。
庭園は四季折々に美しいが、ことに紅葉は有名。11月以降の行事もチェックしたい。
庭園内に崖線の湧出する様を見ることができる。中学生以上150円の入場料はとってもおトク。既に国分寺駅南口まで2分の場所だから、たっぷり楽しみたい。
武蔵野崖線には今なおたくさんの湧出地があり、殿ヶ谷庭園から5分ほどの東京経済大学内にも新次郎池というたくさんの湧出口を持つ崖下の池がある。元町用水路も含めたこれらの湧水を集めるのが野川で、国分寺市、小金井市、三鷹市、調布市、狛江市、世田谷区を通って20キロ余流れ、三鷹市あたりではかなり大きな川となりやがて多摩川に合流する。
このように野川はたくさんの湧水群が源流といえるが、一般に日立中央研究所構内の大池が野川の起点とされている。
日立中央研究所は日立グループの研究所として1942年設立の歴史を持つ。広大な敷地は武蔵野の面影を残す自然環境が保全されている。
殿ヶ谷庭園からはJR中央線の線路を越えた向こう側。国分寺駅北口より徒歩約10分の場所にあり、春と秋に1日、庭園公開日を設けて一般の入場を受け入れている。
2014年の秋の庭園公開予定日は11月16日(日)。雨天の場合は中止。事前にホームページの告知をチェックしたい。
<観光ポイントの住所>
市立歴史公園:国分寺市西元町1丁目から4丁目付近
武蔵国分寺跡:国分寺市西元町2丁目
お鷹(たか)の道:国分寺市西元町1丁目
都立殿ヶ谷庭園:国分寺市南町2-16
日立中央研究所:国分寺市東恋ヶ窪1-280