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「僕らは奇跡でできている」豊福Pが語る舞台裏エピソード

たかはし

(C)カンテレ

 高橋一生が生き物の不思議が大好きな大学講師・相河一輝を演じる「僕らは奇跡でできている」(フジ系・毎週火曜後9時)。豊福陽子プロデューサーに、ドラマ作りの裏側やキャストの素顔について聞いた。

――企画はどのように生まれたのですか?

「脚本家の橋部敦子さんといつか一緒にお仕事がしたくて、上司を通じて一度お目にかかれたらとお願いしていたら、急にお返事があって『では明日、どうですか』と。これは断られる流れかなと思いながら、とにかく会わせていただきました。お会いしてみると、どうも断られる流れではなく、いろいろとお話できて、私はこんなドラマを作りたいと思っているんですとお伝えすることもできました。企画書を用意する間もなくて、雑談レベルだったんですけど。
例えば、ひまわりの種の並びを(中心から外への螺旋状の線で結んで線の数を)数えると、(時計回りに数えた場合の本数、反時計回りの本数が)フィボナッチ数列になっているんです。フィボナッチ数列って黄金比と関係していて、身近にあるものに、こんな思いもよらない法則が隠されているってすごいなと思って。そういうことを情報番組ではなくドラマのなかで見せて、皆さんとその感動を分かち合いたい。そういう話をしました。そうしたら、橋部さんが『私もそういうことにすごく興味があるんです』とおっしゃって。2人とも、思わず立ち上がるぐらいの感じで盛り上がってしまいました。そこから、じゃあ主人公は動物行動学を教える大学講師にしようと話が決まっていって」

――ドラマを楽しみながら生き物の不思議に触れられる、新感覚の作品ですよね。

「企画を立ち上げるとき、『どこかで見たな』はやりたくないんです。『まだそれは見たことない』っていうのをやってみたくて。王道と呼ばれるようなドラマはやっぱり魅力的ですが、それは私じゃなくても誰かもっと上手い人がいると思うので。私は、ちょっとヘンテコかもしれないけど、こういうのもあるんじゃないですかっていうのをそっと差し出してみたいんです」

――橋部さんとの台本作りで何か特徴的なことはありますか?

「橋部さんとの台本打ち合わせでは、このセリフをちょっと変更しようとか、シーンの順番を入れ替えようといった細部の議論よりは、一輝だったらこの場合、こう行動するのではないかとか、もっと根底の部分につながる話をすることが多いです。キャラクターやドラマの根底に流れる価値観の話をしていますね」

――一輝は世の常識とは異なるものの見方を示しますが、それでいて既存の価値観や他の考え方を否定するムードはありません。個人的な感想ですが、とげとげしさがなく、リラックスして見られますよね。

「そこは橋部さんが台本にこめた思いがそうなっているんだと思います。一輝というキャラクターはすべての生き物を等しく見ているんですよね。今存在しているものに対しては、悪い部分を捉えるより良い部分を見ていく。可能性を広げることのほうに光を当てる。だから誰かを否定するようなことにはならなくて、だけど見る人の気持ちがちゃんと動くのかなと思います」

――一輝のキャラクターに関して、高橋さんから提案などはありましたか?

「撮影前にそのつど、提案や相談をいただいたりします。例えば、2話で一輝は育実(榮倉奈々)に、リスのための橋を架ける話をするんですが、台本では『リスに(橋を渡る可能性を)見せてあげる』というセリフになっていました。一生さんはそのセリフについて『一輝は“~してあげる”という言い方はしないんじゃないかな』と。一輝は人間も動物も等しく愛しいと思っていて、どちらが上とも下とも思っていないはずだから、リスを上から見て『~してあげる』とは言わないはずという話ですね。なるほど、その通りだということで『見せる』というセリフに変わりました。お芝居そのものでニュアンスを提案、表現していただくこともあります。台本を読んで、『一輝のこのセリフは相手を少し嫌いなのかな?』と感じるところがあっても、一生さんの言い方を聞くと、全然とがらなかったりするんですよね。一生さんが『ここ、こんな感じでいこうと思ってるんですけど、ちょっと見てもらえますか』とやってみせてくださることがあるんですが、全部、ああなるほどと思うんですよ。本当によく考えてくださっているからでしょうね。違うなと感じるところがあれば、私ももちろん言うつもりなんですけど、(違和感が)ないんです。そうして考え抜いた上で、いざ現場に入ると頭で考えるのと別の、本能みたいなところでお芝居されているように見えて、そこもすごいなと思います。クランクインの日、一生さんに『お願いします』と声がかかったところで、ふと一生さんの歩き方が変わった瞬間があって。ああ、今、一輝になったなって感じました。現場に入ると、もう計算じゃない次元で演じている。それで、一輝という唯一無二のキャラクターができているんだろうと思います」

――育実役の榮倉奈々さんの起用理由をあらためて聞かせてください。

「榮倉さんのことは以前からかわいらしい方だなと作品を拝見していて、一方で、実は芯のしっかりした方なんじゃないかと思っていました。核のようなものを感じるというか。育実はちょっとイヤミに見える発言や行動も時に出てしまうけど、それは彼女が一生懸命に頑張っているがゆえ。不器用さがそういう形で表れているんですよね。大人の女性が見ると『ああ、わかる』とか『幸せになってほしいな』とか思えるキャラクターにしたかった。榮倉さんはいい年の重ね方をされている印象があり、そこを表現してもらえると思いました。一輝がややファンタジックなにも見えるキャラクターですが、対照的に育実は現実にもたくさんいそうな、共感を呼ぶ女性で、ドラマを地に足の着いたものにしてくれています。育実と一輝のやりとりはずっと見ていられますよね。榮倉さんにお願いしてよかったと、すごく思いました」

――大学生・新庄役の西畑大吾さんについて、俳優としての魅力をどう感じてらっしゃいますか。

「ルックスはかわいらしいですが、中身はとても大人です。自分の役柄やこのドラマでの立ち位置をしっかり考えてくれています。一生さんや小林薫さんら演技巧者の俳優陣との共演を喜んでくれているんじゃないでしょうか。お芝居が好きな人なんだと思います。チェインストーリーで学生が踊りながらラップを披露するシーンがあって、その子が苦戦していると、西畑くんは自分はその日の撮影が終わっているのに『もうちょっとこうしたら』とアドバイスをしてあげていました。優しいですよね。軽く踊って見せるだけでも、やっぱり体のキレが全然違って、ああそうか、こういうダンスはお手の物なんだ、彼はアイドルなんだってそこで思い出しました。逆に言えば普段、私は彼のことを役者さんとしか意識していない。そういうお芝居を見せてくれています」

――沼袋(児嶋一哉)をアリの研究者役にしたのはどうしてですか?

「アリって身近にいるけど、生態をちゃんと知ってみるとすごく面白いんですよ。このドラマのテーマとも通じるなと思って、アリの研究者もアリかなって思いました……すみません(笑)。アリは集団で生き残るために自己犠牲みたいな行動をするものもいたり、ちょっと人間社会に通じる部分もあって。沼袋はもしかするとアリに人間の世界の縮図を見ているのかもしれないですね」

――山林や動物園、こんにゃく農家などロケが多い印象ですが、何らかの効果を狙ったものですか?

「一輝のキャラクター上、そうなりました。研究室で実験をしてデータを分析して結論を導くというよりは、観察を大事にする人として描きたかったので。さらに、一輝が何かに目をみはって感動するとき、それは特別珍しいものじゃなくて、誰でも見に行こうと思えば行けるようなものにしたかったんですよね。ロケは大変ですけど、夏の暑いときに始まって秋が来て、季節の移ろいを感じながら撮影できています。生身で体感しているものが映像になっているので、見ている人もちょっと森に行ったような気分になれたり、そうしたマイナスイオン的な効果があったらうれしいですね。河野圭太監督もそこは意識されているようです。例えば、1話冒頭のシーン。森で幼い一輝の手のひらにカゲロウが止まって飛んでいきますが、あのシーンは監督自ら、白い種類のカゲロウを選んでいるんですよ。はかなげで美しいシーンになっていたと思います」

高橋さんの舞台裏エピソードやドラマ後半の見どころなど、さらなるお話を11/24(水)発売の本誌24号「裏方チャンネル」でご紹介します。併せてお楽しみください。

取材・文/赤坂麻実


<番組概要>
「僕らは奇跡でできている」
フジテレビ系 毎週火曜午後9時~9時54分
高橋一生 榮倉奈々 要潤 児嶋一哉 西畑大吾(関西ジャニーズJr.) 矢作穂香 北香那 広田亮平 / 田中泯 / トリンドル玲奈 阿南健治 戸田恵子 小林薫