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W杯 special report
sports writer尾崎和仁

ブラジル・ワールドカップ開幕!

ブラジル 3対1 クロアチア
2014年6月12日(木)サンパウロ市 アリーナ・コリンチャンス

黄色に染まったバックスタンド

 準備の遅れが心配されたFIFAワールドカップ・ブラジル大会が開幕した。スタジアムでの運営の不備はあったものの、大衆が主役である、これまでの大会と同じ光景があった。

 それまで工事中のスタジアム周辺や盛り上がっていない街中の風景をみるにつけ、本当にワールドカップが開幕するの? できるの?と思っていた。
 しかし、ブラジル代表の試合日のために、会社や学校が休みになった開幕の日、サンパウロ市の中心「レパブリカ」のファン・フェスト会場には、開門前からファンが行列をつくっていた。周辺のカフェには、カナリア色(黄色)をまとったブラジル人と、開幕戦の対戦相手クロアチアの赤白が、呉越同舟で昼間からビールを楽しんでいた。

 レパブリカのカフェ スタジアム近く

 スタジアムへの電車の中では、クロアチアのサポーターが大声で歌い、人なつっこいブラジル人が笑顔で見ている。駅からスタジアムヘは、黄色と赤白が缶ビールを手に、歌ったり、写真を撮ったりと、これもいつもの光景だ。大衆が主役のサッカー・ワールドカップが始まったことを実感した。
 スタジアムへの入場は厳戒で、観客全員が空港のような手荷物検査と身体検査ゲートを通される。ワールドカップの会場では初めての体験だ。ぼくの席は、仮設スタンドである西側ゴール裏の最上段付近。仮設エリアのためか、準備・運営はかなり怪しかった。路面のコンクリートはいたるところが凸凹のまま。いくつかの公式グッズ売店や飲食売店は閉まっていたし、開いているコーラやビール売店では、お客を待たせて売り子に指導中だった。
 こんな状況だから、さすがのブラジル人も呆れ顔で不満を口にしていたが、一生懸命働いているスタッフに不安は感じなかった。会場内はどこも大混雑だったが、混乱はしていなかった。これもワールドカップの一部なのだ。

 この日、ブラジル人がもっとも落胆したのは、クロアチアに先制点を奪われたときだった。前半11分。試合前の国歌演奏のときから揺れに揺れていた仮設スタンドが沈黙した。
 しかし、その後、ブラジル代表を鼓舞する声や足踏みが大きくなり、ネイマールの同点ゴール、逆転のペナルティキックで最高潮に達した。歓喜と恐怖が混ざった複雑な心境。たぶん、もう二度と体験できないだろう。

 試合は3対1でブラジルが勝った。勝利を義務付けられたブラジルの固さと王国に一泡吹かせようとするクロアチアのしたたかさが印象に残った試合だった。また、開幕戦に抜擢された西村主審ら日本の審判団の毅然としたジャッジも素晴らしかった。ややホーム・タウン・ディシジョンを感じることもあったが、大会の基準を示す重要な試合を無難に乗り切った。

 敗れたクロアチアには気の毒だが、ブラジルが勝利したこともあり、ワールドカップ・ブラジル大会は無事に開幕した。ホスト国の勝利こそが大会を盛り上げるための特効薬であることは、いつの大会でも同じだ。
 帰りの電車では、どこからか「レー、レレオー、レレオー、レレオー、ブラジルッ!」という声が湧きあがり合唱が始まった。ブラジル人のほっとしていると同時に、さぁ、これから、という気持ちの表れだろう。

 はたして、1か月後の決勝戦でブラジル代表が躍動しているだろうか?