テレビステーション

ロボ

ブラインドサッカー世界選手権リポート(1)

■ ブラインドサッカーとは

 ところで、そもそも、「ブラインドサッカー」という競技をご存じだろうか。その言葉から、目の見えない、視覚障がい者がボールを蹴り合っているサッカーを想像してしまうかもしれない。
 しかし、実際は、視覚障がい者と健常者とでチームを構成し、健常者であるゴールキーパーとコーラー(攻めるゴール裏から攻撃の指示誘導をする)と監督(コートサイドから指示を出す)の3人からの声を頼りに、フィールドプレーヤーである4人の視覚障がい者が、ドリブルをし、パス交換をし、ゴールを奪いあうサッカーなのである。
 コートは、フットサルと同じ広さ(約20m×約40m)で、両サイドにはアイスホッケーのように防護壁が立つ。小ぶりなボールには、小さな鉛の球がたくさん入っていて、ころがったり、弾んだりすると、鈴のような「シャカシャカ」という音がする。
 フィールドプレーヤーは、そのシャカシャカ音でボールの位置や動きを想像し、ゴールキーパーやコーラーの声を頼りに自分の位置や相手との関係を推測する。そうやって前・後半25分ずつの50分間、自由に走り、動き回る。
 だから、観客は、プレーが進行している間は、ひたすら固唾をのんで見守る。声援がプレーの邪魔になってしまうからだ。そのかわり、ゴールが決まったときには、たまった分の声を爆発させていい。でも、いつまでもざわついていると、審判から「静かに!」と(ゼスチャーで)注意されることもある。
 ブラインドサッカーは、初めて観戦する者にとって、見どころ、というよりも驚きどころが満載のスポーツなのは間違いない。ぼく自身も、初めて観たときの衝撃を忘れられないでいる。その視覚障がい者によるサッカーの世界選手権が、今、行われている。

■ 観戦は、ぜひ会場で!

 ブラインドサッカー世界選手権は、11月16日(日)から24日(月)まで、東京・渋谷の代々木競技場特設会場で開催される。
 優勝すると2016年リオデジャネイロ・パラリンピックの出場権を得られる重要な大会だ。その先には、2020年東京パラリンピックもある。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定してから、パラリンピックや障がい者スポーツへの関心が高くなっている。しかし、「パラリンピック」という障がい者スポーツの大会があることは知っていても、実際にどんな競技が行われるのか知っている人は少ない。
 このブラインドサッカーは、2004年のアテネ大会からパラリンピックの競技となっている。アテネ、北京、ロンドンと3大会連続の王者はブラジル。残念ながら、日本は、まだパラリンピックに出場していない。
 リオデジャネイロ・パラリンピックでの初出場を目指す日本の、この大会での目標はベスト4。そう簡単ではない。しかし、初戦の勝利によってその可能性は高まっている。
 日本は、パラグアイ、モロッコ、フランスと同じA組。開幕戦後に行われたモロッコ対フランス戦は0対0の引き分けだったので、1試合を終えた時点で、日本は勝ち点3でA組の1位。各組の2位までと3位の成績上位チームが、準々決勝(ベスト8)に進む方式なので、日本の上位進出には大いに期待が持てる。
 日本代表の健闘でさらに盛り上がるブラインドサッカー世界選手権は、異次元のサッカーを、それも最高峰を目の当たりにできる貴重な大会だ。ぜひ、会場に足を運んでみてほしい。ただし会場に行く際は、日が暮れるとかなり冷え込むので、防寒の準備を忘れずに。
 また、遠隔地のために会場に行きたくても行けないという方は、スカパー!が日本代表戦全試合を生中継する予定なので、ぜひ、ご覧いただきたい。

大会特設サイト:http://www.wc-blind-football.com/
スカパー特設サイト:http://www.bs-sptv.com/b-soccer

文・写真:尾崎和仁