
「2019年のビッグマック」
全オールカラー収録!
未来イラスト55点
未来アイテム69点
未来年表つき
(版元・定価・ISBN)
ダイヤモンド社刊
定価1365円(税込み)
2007/12/17発売
4-478-00314-9

地下4階の渋谷駅から明治通りに上がると、午前3時というのに、外は昼間のように明るい。
前知事の肝煎りで地下鉄が24時間運行(※1)になってからというもの、東京の街から夜が消えた。
駅から表参道へと至る明治通りは、高発色の治安維持灯が並び、一分の闇もない。今では夜景を売り払うことに通りの店々が反対したことも懐かしい。当時は都も、明かりだけでこれほど劇的に犯罪が減るとは思ってもいなかった。しかし、白光は若者の牙を抜いた。
通りは、今やすっかり定着したアフリカン・ファッション(※2)や、新興勢力のブラジリアン・ファッション(※3)の女性たちが闊歩する。
いつからだろう。渋谷といえば、副都心線(※4)が下を走る、この明治通りを指すようになったのは。
西武が渋谷を退いてから、公園通りやスペイン坂にかつての賑わいはない。閉鎖中の109は、来年カルチャーセンター(※5)に生まれ変わる。
毎夜中、僕は人波の絶えない明治通りを歩き、表参道のオフィスに通う。
途中、スターバックスの自販機で缶ラテを買い、一服。僕が最も安らぐひとときだ。かつて、あるミュージシャンが缶コーヒーを「百円玉で買えるぬくもり」と歌ったが、携帯電話で買う今の時代に、そんな情緒的な歌詞は生まれない。
そういえば、また消費税率(※6)が引き上げられたそうだが、ええと、このコーヒーいくらだっけ。
道向いのビルのエレベーターを眺めていると、ふと、昨夜見たネットムービー(※7)が頭をよぎった。
それは、エレベーターを舞台にした、最近流行りのフェイク・パニック作品。要はエレベーターの事故を装い、意図的に閉じ込められた見ず知らずの男女2人の1時間を描いたものだった。
カメラは3方向からエレベーターの内部を映し――もちろん、中の2人はカメラの存在も、それが仕組まれた事故であることも知らない設定だ。彼らの顔と声は編集で差し替えられ、室内に固有のエレベーターを特定する要素は一つもない。つまり、そこがどこで、2人が誰か、誰にも分からない。どこからも誰からも文句は来ない。
結論から言えば、2人は恋に落ちなかった。閉じ込められた1時間、恐ろしく退屈な会話を交わし、ドアが開くと他人になった。だが、番組の真の見せ場はそこからだった。
男が降りた後、女は「閉」のボタンを押したのだ。彼女は移動する階数表示を目で追い、ドアが開くと、前髪を直す仕草をして降りた。
エンドクレジット「作・式場次郎」。
そうだ、次は彼にしよう。
石原東京都知事は、かねてより地下鉄の24時間運行化を唱えている。
2010年に南アフリカでサッカーW杯が開催されるのを機に、ファッション界にアフリカブームが到来。この頃には定着しているだろう。
リオデジャネイロは、南米初となる2016年夏季五輪への立候補を表明している。それを機に、ブラジルブームが起こるかも。
2008年6月に渋谷と池袋間に開通予定の地下鉄。
この時代、日本国内の65歳以上の割合は4人に1人。少子化が進み、人口が減少した若年層に代わり、彼らがマーケットの主役となっているだろう。
日経連の奥田会長は、2014年には消費税率は16%になるだろうと提言した。
この時代、テレビはネット配信によるペイ・パー・ビュー視聴が主流になっているだろう。放送法は事実上解体されている。
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