テレビステーション

ロボ
Loading
猫と暮らす
人間じゃない家族を大切にしている人へ

[9]猫の居眠りは大切なおシゴト

live-with-cat-9-1

◆ 眠いのにはワケがある

買い物から戻ると、福さんがお腹を丸出しにして寝ているのだった。外で暮らす猫ならあり得ないはずの、警戒心ゼロの寝姿。出かける前にも同じ場所でほぼ同じ格好をして転がっているのを見たから、かれこれ2時間移動もせずこうして世界一平和な寝顔で眠りこけていたのだろう。
猫は、とにかくよく寝る動物だ。平均的な睡眠時間は1日14~15時間といわれ、子猫のときや歳をとった後には、20時間近くひたすら眠って過ごすこともある。とはいえ、決して野生の本能を忘れた怠け者などと誹謗してはいけない。長時間眠っているのには、それなりの理由があるのだ。むしろ、猫が「暇さえあれば寝ている」のは、野生の本能を忘れていない証拠といえるのかもしれない。もともと猫は、狩りをして暮らしていた肉食動物。獲物を捕らえて食べ、必要な栄養を体に摂り込んだら、あとはできる限りエネルギーの消費を抑えるべく眠って過ごす、というのがご先祖様たちから代々受け継がれてきた生活スタイルなのだ。まあ、ウチの猫の場合「獲物を捕らえて」という必要はないので、「食べたらあとは次のごはんに備えて寝る」という、ちょっと怠惰気味の生活スタイルになってしまっているのだが・・。

猫の就寝中には人間と同様に浅い睡眠のレム状態と深い睡眠のノンレム状態が繰り返されているのだそう。そういえば、眠っている福さんを観察していると、瞼や耳がぴくりぴくりと小刻みに動くことがある。手のひらをぎゅーぱーと開閉させたり、寝言のようにむにゃむにゃと何かを呟いたりもする。どうやら猫も人間と同じように、レム睡眠時には夢を見ているらしい。
幸せそうな顔をして眠っている猫の姿はこの上なくカワイイので、ついつい撫でたりくすぐったりいじったりしたくなるものだが、なるべく眺めるだけでガマンしたほうが良さそうだ。ずーっと寝ているとはいえ、ノンレム状態の時間は睡眠時間全体の3分の1~5分の1程度といわれている。この貴重な安らぎの時間に起こしてしまうようなことが何度も続くと、猫にとって大きなストレスとなる。普段はいじられるのが大好きな猫であっても、度々安眠を妨害されると、体に変調をきたすことにつながりかねない。

◆ 安心して眠れる環境を

猫たちにとって睡眠は健康を維持するための大切なお仕事なのだから、最大限尊重してあげねばなるまい。彼らがゆっくり安心して眠れる環境がどんなものであるかを知り、それを整えてあげることが大切だ。本棚やタンスの上に登って寝るのは、「高い場所にいれば敵に襲われる心配がない」から。地上では、信頼できる飼い主の匂いがする服の上などが安心して眠れる場所。棚の上に飛び乗って物を落として壊したり、畳んでおいた服の上に居座って毛まみれにしたりするのも、本能に忠実であるが故のこと。家の中にいきなり襲いかかる敵などいるはずもなく、わざわざそこで寝なくても猫用のベッドを買ってあげたじゃないの、などと嘆いたり怒ったりしても始まらない。お猫様がそこでお休みになりたいのなら、棚の上から邪魔なものをどかして差し上げ、毛まみれになった服はそのまま気の済むまで敷布団としてお使いいただく。猫の安眠を優先に考えるのだ、それが飼い主の務めなのだと、私は自分に言い聞かせている。

猫の「安眠度」は、その寝姿からある程度察することができる。丸くなって寝ているときは、あたりを警戒しているか、少々寒いと感じているかだ。ゴロンと横になって手足を伸ばして寝ていれば、ほぼ安心している証拠。バンザイしてお腹丸出しの寝姿をしていたら、全く何の心配ごともなくリラックスしているということである。
さてさて福さんは、いまもまたお腹丸出しで大の字になって眠っている。100%安心しているに違いない。試しにお腹をかぷりと噛んでみたところ、おもむろに両手をパーと開いて伸びをした後、再度とろとろと眠りに落ちてしまうのだった。あ、いけない。またつい安眠を妨げてしまった・・。(T.K)

live-with-cat-9-2

主な参考文献
『図解雑学』猫の心理(ナツメ社)
『ペットは人間をどう見ているのか』(技術評論社)