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猫と暮らす
人間じゃない家族を大切にしている人へ

[8]じっと見つめる視線の先に、何があるの?

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◆ 獲物の気配(?)を敏感にキャッチする能力

わが家の猫はときどき、驚いたような顔をして一点を見つめ、低い声で唸ったりすることがある。その視線の先に何か特別な物があるわけではないのに、である。2匹並んだ猫が、同時にひょいっとある方向に顔を向け、一点を凝視することも。もしかして、こんなとき彼らには、私たち人間には見えない何かが見えているのだろうか。これはどうやらウチの猫に限ったことではないらしく、愛猫家の間でよく出る話題だ。犬を飼っている人からも、散歩の途中で何もないところを見つめて吠え始めるとか、怯えたように固まってしまうというような話を聞くことがある。ちょっと怖いようでもあり、好奇心をくすぐられる話でもある。
いろいろ調べてみると、どうやら何かが「見えている」というよりは「聞こえている」ケースが多いようだ。音の発生源が我々人間にとって未知のものであるか否かは別にして、猫も犬も人間よりはるかに敏感な聴覚を持っていることは間違いない。

どのくらいの音を聴き取れるかを示す値に、可聴域というものがある。書物によって見解や数値に多少のばらつきはあるものの、猫の可聴域は概ね25~7万ヘルツとされている。低い音は25ヘルツまで、高い音は7万ヘルツまで聴こえているということだ。犬の場合は40~5万ヘルツくらい。人間は概ね20~2万ヘルツだというから、犬や猫は、人間とくらべ高音域を聴き取る能力が格段に高いわけだ。猫が天井裏でネズミの鳴く声を聴き取って反応する、とはよく言われるところ。ネズミの声は、およそ6万~7万ヘルツだそう。犬と猫にはさらに、遠くで物が動いたり落ちたりする小さな音を聴き取る力も備わっている。

というわけで、猫も犬も私たちより耳が良く、かすかな音も逃さず聴き取っているわけだ。話は少しそれるが、聴覚が敏感ということは、不意に大きな音が耳に飛び込んでくると、かなりのショックを受けるということでもある。たとえば、抱っこされてウトウトしているときにいきなり耳元でくしゃみをされると、すぐ近くに突然雷が落ちたかのような衝撃を受けるのではないのか、と想像する。動物の身になって気を配ってあげねばなるまい。

◆ ミステリアスなところも動物たちの魅力のひとつ

さて、耳が良いということはわかった。では、視力はどうか。猫の場合、遠い所を見る力は人間の約10分の1程度、つまり近視なのだそう。犬も、猫よりは遠目が効くが、それでも10m以上離れたものをはっきり見るのは困難らしい。但し、モノの動きを見極める動体視力は非常に高く、ささっと動く動物の存在を察知する力を備えている。特に猫はこの能力に長けていて、50m先で動くものにも気付くと言われる。また、どちらも本来夜行性の動物であることから、夜目も抜群に効く。

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で、わが家の猫たちが凝視している対象は結局何なのか。ウチの場合はマンションなので天井裏のネズミの足音はあり得ないが、上の階で飼っている動物の足音などに反応している可能性はある。もしくは、襖やカーテンの向こう側にいる蚊や羽音や窓の外にいる鳥の声をキャッチして、本能的にハンターとしての血が騒ぎ「獲物」のいるであろう方向の様子を伺っているのかもしれない。小さな音をとらえ、神経を集中して音のした方向を見つめ、その優れた動体視力と暗視力を駆使して音の発生源が何なのかを探ろうとしている、ということか。

個人的には、猫たちが息をひそめて見つめる視線の先には、虫でもなく鳥でもなく、私の知らない何かがあるのでは、と思っている。というより、そうであってほしいという気がする。だって、ぜんぶ解ってしまっては、つまらないではないか。動物たちには多少ミステリアスな部分のあるほうが、一緒に暮らしていて楽しいと思うのである。(T.K)