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猫と暮らす
人間じゃない家族を大切にしている人へ

[6]仕草から読み取る動物たちのキモチ

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◆猫パンチで目覚める朝

わが家の猫は、毎朝決まった時間に私を起こしに来る。耳元にそおっと近づいてきて、ニャーと鳴く。「起きてくださいな。ねえねえ、そろそろごはんの時間でしょ」という食事の催促なのだ。もうちょっと寝かせてくれと思って無視していると、前足の肉球で顔をポンポンと叩いたり、やがては顔をぎゅうと踏んづけたりジャンプして胸の上にどすんと飛び乗ってきたりもする。
猫は日常の出来事、特にうれしかったことを、とても良く覚えている。朝6時に目覚ましの音とともに飼い主がむくりと起き上がり、目の前にいる自分をひと撫でしたあと、ごはんを用意してくれる、という出来事が2~3日続けば、「朝6時に目覚ましが鳴る」→「飼い主が起きる」→「撫でてもらえる」→「ごはんが出てくる」という流れが記憶に焼き付いて、習慣化する。そうなると、こちらが今日はゆっくり寝ようと7時に目覚ましをかけた日にも、6時には猫の腹時計のほうが先に鳴ってしまうのらしく、予定より早い時間にちょっと脂っこい肉球の感触で目を覚ますことになる。

猫であれ犬であれ、人と暮らす動物たちは鳴き声や仕草で自分の欲求を伝えようとする。私たちは残念ながら動物たちと言葉で会話できない。だから、彼らの様子から言わんとしていることをできる限り察して、欲求を満足させてあげたいと思う。
犬や猫の気持ちを知るための研究はあちこちで行われていて、その結果は一般向けの雑学書や雑誌などでも紹介されているから、彼らがこんな仕草をするときには何を求めているとか、こんな姿勢でいる時には何がしたいといったことはある程度までわかる。
たとえば猫が人の足に口元をずりーっと擦り付けてくるのは、いわゆるマーキング行為だ。「この人、ボクの(アタシの)お気に入り~」とばかりに、自分のものであることを主張するために匂いを付けるわけである。自分の体をしきりに舐めているときは、いわゆる「毛繕い」の意味もあるが、実は緊張あるいは動揺しているのかもしれない。猫は毛の一本一本に神経がつながっていて、そこをぞりーっと舐めると副交感神経が活性化して自律神経が安定するのだという。乱れてしまった心を落ち着かせるために、自分の体を舐めるのである。犬なら、体の前半分を低くして尻尾をゆっくり振っていたらそれは「一緒に遊ぼうよ」というお誘いのポーズ。ワヲーンと遠吠えをするのは、心に不安があるとか、ふと寂しくなったときなのだそう。

◆「なぜそうするのか」を理解してあげたい

いろいろ調べてみると、意外なことも多々ある。猫は撫でられて気持ちいいときだけでなく、不安な気持ちのときにもゴロゴロとノドを鳴らすとか、犬が尻尾を振るのはうれしいときだけでなく、怒って興奮しているときにも振るのだという話には、え、そうだったの?と驚かされた。
ほかにも、猫と犬の仕草の代表的な例がいくつかあるので、下に挙げてみた。もちろん、「こんなときは絶対にこうだ」と言えるものではないが、専門家による研究や統計の結果は、大いに参考にしたいところだ。

よく見かける猫の仕草とその理由

 仕草・行為  理由
 尻尾をぶんぶんと力強く振る  気持ちがイライラしている。ご機嫌を取ろうとして撫でたりすると、猫パンチが飛んでくることも。
 尻尾を膨らます  何かに驚いているか、目の前にいる相手を威嚇している。
 人やものに顎や口元をすり付ける  自分のものであるという印を付ける「マーキング」行為。人間には嗅ぎ取ることのできない匂いの分泌物を出している。
 前足を体の下に折り込んで座る(いわゆる‟箱すわり”)  とっさに動くことのできないこの座り方をしているときは、心が平穏であり安心している証拠。
 毛布や人の体の柔らかいところを両前足で掴んでモミモミする  甘えている。小さな頃にこうして母猫のお乳をおねだりしていた記憶が蘇っている。

 

よく見かける犬の仕草とその理由

 仕草・行為  理由
 体をブルブル振る  何かの理由で緊張し、その緊張を自分で解こうとしている。
 人の手をペロペロ舐める  ごはんが欲しい、散歩に連れて行って欲しいなど、何かを求めて甘えている。母犬の口元を舐めてごはんをねだるのと同じような心理。
 仰向けに寝転んで腹を見せる  体の力が抜けているなら、安心しきっている証拠。体が緊張していたり、尻尾を内側に巻き込んでいる場合は、恐怖を感じていることも。
 尻尾を下げ(または後ろ足の間に挟み)、身を縮めて上目づかいに人の顔を見る  警戒、怯えのサイン。
 背中を地面に擦り付けて体をくねらせる  満足の合図。喜んでいる。但し、散歩中に外の汚れた地面に背中を擦り付けるのは、そこにある匂いを体に着けようとする本能的な行為であることも。

 

冒頭の、毎朝猫に起こされる話は、猫を飼っている人の多くが経験していることではないかと思う。「朝です。撫でてください。それからごはんください」という要求を聞き入れてあげないと、猫のアピール行為はどんどんエスカレートする。
猫は一度何らかのアピールをして欲求を満たしてもらえれば、次も同じことをすればまた満たしてもらえると期待する。それを無視すれば、もっとインパクトの強い行動に出て、なんとかわかってもらおうとする。わが家では過去に、まだ眠いからと頭から毛布をかぶって寝続けていたら、布団のなかでおしっこをしたり、耳の横でオエーオエーと声を出しながら吐いてしまう猫もいた。

人と暮らす動物は、人に依存して生きるよりほかに選択肢はない。だから、人間の側が、動物の習性や行動パターンをある程度知った上で、その時々の状況を考え併せ、「なぜいま、こういう行動をとっているのか」を理解するように努めてあげなくちゃ、と思う。
おそそにしても「オエー」にしても、猫にとっては重要なメッセージを伝えようとする手段なのだ。なぜそんなことをするのかがわからないと、飼い主はやがて「いたずらばかりするやつ」とうんざりした気持ちになり、動物からは「ものわかりの悪いやつ」と嫌われたり、「なんで怒ってるの?この人コワイ」と敬遠されてしまうことになる。それでは、お互いの溝が深まる一方。最後は「ああ、ウチではこの猫は飼いきれない」という残念な結果にもなりかねない。せっかく一緒に暮らすのなら、お互いにストレスのない楽しい時間を共有したいものだ。(T.K)

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<100%リラックスのポーズ(?)>

主な参考文献
『猫に言いたいたくさんのこと』(池田書店)
『ネコの気持ちが100%わかる本』(青春出版社)
『人が学ぶ犬の知恵』(東京農工大学出版会)