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猫と暮らす
人間じゃない家族を大切にしている人へ

[3]獣医さんから教わる猫の健康管理1
猫によくない食材を避けて、たまには手づくりご飯も

愛する猫に、いつも元気でいてほしい。そして、できる限り長生きしてほしい。そのためには、常日頃から健康管理に気を配っておく必要がある。そして何より、正しい知識を頭に入れておくことが肝心だ。
東京・人形町で長年にわたり猫を中心とした動物診療を続けている「人形町・猫の病院」の院長、大串正先生をお訪ねし、飼い主として知っておくべき大切なポイントをご教示いただいた。

P1040175大串正獣医師
1984年、日本獣医生命科学大学 獣医学部卒。
東京・恵比寿で父の開業した動物病院に15年間勤務した後、2003年に人形町に移り独立。
猫を中心とした小動物を対象に、一般内科、一般外科の診療を行うほか、飼い主が自宅でできる在宅治療の啓蒙にも力を入れている。口コミで評判を聞きつけ、都内の他地域や他県から愛猫・愛犬を連れてくる飼い主も多い。

人形町猫の病院

東京都中央区日本橋人形町2-7-2
☎03-3666-0100

ネギは厳禁。ほかにもいろいろある危険な食べ物

 健康管理といえば、まずその基本となるのが食生活。猫も人間と同様にバランスの良い食事が健康の秘訣だと、大串先生は言う。
 「おいしいものを喜んで食べる猫の姿を見るのは、飼い主さんにとってとても嬉しいことですね。でも喜ぶからといって、猫の好きな鶏のささみやマグロの刺身ばかり与え続けるようなことは、ミネラルに偏りが生じてしまうので避けないといけません。偏った食事が原因で、肥満や生活習慣病を患うケースがとても多いのです」
 食材に関しては、思わぬところに猫の健康を害する「落とし穴」が潜んでいたりもする。与えれば喜んで食べるけど、過剰摂取は禁物というものが、実にいろいろあるのだ。
 猫それぞれの体質によって影響に差はあるが、一般的に「与えないほうが良い」とされる食材とその理由を、表にまとめてみた。

与えないほうが良い食材  理由 
 イカ、タコ  与えると好んで食べる猫が多いが、消化に悪い。特に年齢の高い猫にとっては胃腸への負担が大きく、下痢や嘔吐の原因に。
 塩分の濃いもの全般  猫は、からだの構造上、人のように汗を出して体内の塩分を調整することができない。塩気の強い食べ物は、腎臓や心臓の病気につながりやすい。
 チョコレート、ココア、コーヒー  カフェインやテオブロミンという物質によって中毒症状が起こることがある。
 ネギ類(玉ねぎ、長ネギ、ニンニクなど)  これは「与えないほうがいい」というより、「与えてはいけない」食材。ネギ類に含まれる成分「アリルプロピルジスフィド」が赤血球を破壊して貧血を起こさせたり、骨髄の機能を低下させる。
 牛乳  乳糖を分解できず、下痢を起こしやすくなる。

 ひと昔前の日本では、猫のごはんといえば、ダシを取った後の煮干しや鰹節をごはんに混ぜたものだとか、ごはんに味噌汁をかけたものが多かった。いわゆる「猫まんま」である。「猫には猫まんまをあげるもの。猫もそれを一番喜ぶのだ」というのが、いわば一般的な常識ではなかったか。筆者もそう思っていたし、実際に近所の猫がそれを大喜びで食べているのをいつも見ていた。だが上の表に照らせば、意外にも、猫まんまには猫の体に良くないものがたくさん含まれていたことがわかる。味噌汁の塩分は、猫にとっては強すぎる。ネギが入っていたりすれば、なおさら体に悪いのだ。
 さらに意外なのは、牛乳。猫はミルクが大好きというイメージがあるし、栄養たっぷりで体に良さそうな気がするのだが・・・。
「牛乳には、乳糖という糖分が猫の母乳より多く含まれています。猫は、この乳糖を分解して栄養を吸収するためのラクターゼという消化酵素を十分に持っていないことが多いのです。栄養分を分解・吸収できないまま乳糖が大腸まで運ばれ、消化不良で下痢を引き起こしてしまう。すべての猫がそうというわけではありませんが、乳製品を与えてみて、お腹がゆるくなるようなら、あげないようにしたほうが良いですね」
母乳を飲んでいる時期には体内で相応の酵素が作られても、離乳以降はそれが止まってしまうため、特に成猫は牛乳に弱いことが多いという。

たまには手づくりご飯をつくってあげたい

 いろいろ考えると、市販のキャットフードが一番安心ということになるだろうか。大串先生の病院に来る飼い主さんたちはどうだろう。
「今はほぼ100%、キャットフード派ですね。手間がかからないということもありますが、やはり栄養面で間違いがないというのが大きな理由でしょう。メーカーは競って嗜好性の高い製品を作っていますから、猫も喜んで食べてくれますしね。ただ、これも猫の嗜好にだけ合わせて与えていると、肥満になりがちなので気を付けたいものです。飼っている猫の年齢や体質に合わせて、飼い主さんがしっかり選んであげなくてはいけません。人間なら、ステーキを食べたら次の食事はあっさりサラダで済ませるというように自分で調整ができますが、猫は飼い主さんが与えてくれるものを食べるしかないのですから」
 わが家でも、愛猫たちの食事はもっぱらキャットフードだ。でもたまには、手づくりのごはんを食べさせてあげたい気もする。
「もちろん、手づくりもありですよ。たとえば、炊いたごはんに、良質のタンパク質を多く含む白身の魚や鶏のささみを混ぜる。それに加えて、植物繊維も必要なので、カリフラワーやブロッコリーをくたくたに茹でて、細かくしてあげると良いですね。このように脂肪分を抑えた食事は、特に6歳以上の猫に向いています。6歳未満の子なら、多少脂肪分を加える意味で、カッテージチーズを少し混ぜて。成長期(3~4ヶ月)なら、ミネラルのなかでもカルシウムが特に必要なので、たたみイワシとか、小魚を一匹丸ごと煮てくたくたの状態にして、頭も尻尾も皮も全部あげて、一食完結とする。これで十分バランスがとれるのです」
 ただし、イワシ、アジ、サバといった‟青もの”の魚は、摂取しすぎると体の脂肪組織に異常をきたしてしまうので注意が必要だという。
「青ものの魚には、不飽和脂肪酸というものが多く含まれています。それ自体が有害ということではなく、食べさせても良いのですが、毎日そればかり与えるのはNG。黄色脂肪症といって、猫の体の表面を守っている皮下脂肪が変性を起こして黄色くなり、ひどい場合は皮膚に小さな穴が開いてきます。いまは少なくなりましたが、以前は漁港の周りに住む野良猫たちに、この黄色脂肪症がよく見られました。港で捨てられたイワシなどを毎日食べ続けていたのでしょうね」
 キャットフードも手づくりごはんも、適量が肝心ということである。(T.K.)

先生と猫

「先生の手の中にいると、安心にゃ」