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フランスの台所から
洋風料理のベースはやっぱりフランス食文化と思う人へ

[2]塩のあれこれ

前回の「フランスの台所にある基本調味料」に続き、調味料には欠かせない「塩」の種類と使い分けについて紹介したいと思います。
フランスのスーパーの調味料コーナーにはたくさんの種類の塩が並んでいます。粒の大きさ、色、ハーブやスパイスなどで香り付けされた塩など、種類は豊富です。パリに住んでいた頃、年に一度の一時帰国時の家族からのお土産のリクエストはいつも塩でした。

ゲランドの塩田

<ゲランドの塩田>

あまりにも種類が多いために、ここでは日本で購入することのできるフランスから輸入された塩についてお話します。その生産地のほとんどは、良質の天日塩ができる湿地帯である大西洋側のゲランドか地中海側のカマルグのものです。

ちなみに国産の塩は基本的にすべて海水を煮詰める、または輸入した天日塩を溶かして炊き直した精製塩です。日本は雨が多いために、塩田で海水を蒸発させて作る天日塩を量産することができないそうです。
さて、それぞれの塩の特徴に合った適切な使い方がありますが、ごく簡単に調理用と食卓用の二つに分けてそれぞれの使い方について整理してみましょう。

まず調理に使う「グロ・セル(Gros Sel)=粗い塩」です。基本的に食卓に並ぶことはなく、調理に使われます。パスタを茹でる際、お湯に加える塩はグロ・セルを使います。また、お肉やお魚を塩に包んで焼く料理、「塩釜焼き」に使う塩もグロ・セルです。通常、一度に使う分量が他の塩に比べて多いので、500gや1kgの大きな単位で売られています。
料理とは関係ないのですが、ボトルや水差しなどスポンジでは洗えない容器の内部を洗う際、グロ・セルと掃除用のビネガーと水を入れ、しっかり振ることできれいにするという方法を、パリのカフェで働いている時に同僚から教わりました。

次に調理用でも食卓用でも両方に使える万能な塩「セル・ファン(Sel fin)=細かい塩」です。グロ・セルよりもさらさらした塩で、焼き料理にも煮込み料理にも基本の味付けの役割を果たしてくれます。また胡椒と一緒に食卓に並び、食事中の味の調整役となります。

カマルグを代表とする地中海の塩は精製しなくても真っ白な色をしていますが、一方で大西洋側のゲランドの塩は結晶化させるための塩田の土質が粘土質のために少し灰色がかっています。それらは「セル・グリ(Sel gris)=灰色の塩」と言われています。塩の色に関してはグロ・セルでも同様で、たとえば商品名では「グロ・セル・グリ(Le gros sel gris)」等となっています。

 

フルール・ド・セルの収穫

<フルール・ド・セルの収穫>

最後の「フルール・ド・セル(Fleur de sel)=塩の花」ですが、食卓用に使います。グロ・セルと同様、ミネラル分を多く含みますが、非常に繊細な結晶塩です。
夏季(6月上旬から8月下旬)の夕方から夜間にかけて職人の技で収穫され、2.5ミリ以下のみの大きさの粒に選り分けられます。その高度な採塩の技術や収穫量の少なさから、他の塩に比べて値段もより高価です。
とても溶けやすく、また塩の塩っ辛さを感じることなく食材のうまみや甘みを最大限に引き立ててくれる魔法のような塩です。ゲランドのフルール・ド・セルは、FUJII LABELで125グラム瓶入り1050円で販売しています。

たとえばトマトとモッツァレラのサラダの「カプレーゼ」等にはこの塩をお勧めします。和食でも天ぷらや蒸し野菜等、フルール・ド・セルは何にでも大活躍します。おにぎりを作る際もこの塩で握ってみてください。お米のうまみがぐっと引き立ちます。

湯葉のヴェリーヌ

<湯葉のヴェリーヌ>

これから夏にかけてのお勧めは、湯葉(またはお豆腐)のヴェリーヌ。小さなグラスに湯葉や豆腐を盛りつけ、オリーブオイルとフルール・ド・セルをかければ(お好みでお醤油数滴も)出来上がりです(「ヴェリーヌ」とは小さなグラスに入った料理のことです)。

美味しい塩は、料理の基本調味料であるだけでなく、素材そのものの味に気づかせてくれます。フランスの塩を参考に、基本の味付けとなる「塩を選ぶ」という習慣をぜひ身につけてはいかがでしょうか。

 

<プロフィール>
藤井綾藤井綾(ふじい・あや)

2002年5月、高校卒業後、フランスのパリへ渡る。パリ第10大学の美術史・考古学学部に入学・卒業。その後、国立ルーブル学院に編入。
学業と並行して、パリ・オペラ座地区にある地元密着型のカフェで働き、フランス人が普段食する料理や食物、それにワインに対する興味・関心を深めていく。
2011年9月に日本に完全帰国。2012年1月より、滞在中に培ったフランスの日常的な料理を紹介するアトリエ(料理教室)「Atelierフランスごはん」を開始。
2013年9月、FUJII LABEL(http://fujii-label.com/index.html)として活動スタート。
ELLE ONLINE(エル・オンライン)にて、ブログ(http://blogs.elle.co.jp/parisgohan/)を執筆中。