タイトルが端的に示しているように、「セルラー(携帯電話)」を重要な小道具として用いたサスペンス。
高校の生物教師ジェシカ(キム・ベイシンガー)は、自宅に侵入してきたイーサン(ジェイソン・ステイサム)らによって訳のわからぬまま誘拐され、見知らぬ家の屋根裏部屋に監禁される。イーサンはジェシカが助けを求めたりできぬよう部屋に据えつけられた電話機を壊してしまうが、彼女は密かにそれを修理。ようやく繋がったのは、平凡な青年ライアン(クリス・エヴァンス)の携帯電話だった。誘拐されたというジェシカの訴えをにわかには信じられないライアンだったが、電話の向こうのただならぬ様子にそれがいたずらなどではないと察知し、彼女を救うべく奔走することに。
今や現代人の必需品となった携帯電話は、その普及以来、多くの映画で小道具として用いられてきたが、本作は全篇にわたってその機能と特性をフル活用。壊れた電話機がヒロインと見知らぬ青年を結びつける発端のみならず、あらゆる局面で携帯電話を効果的に使っている。原案が、街中の電話ボックスだけで物語が進行する異色サスペンス「フォーン・ブース」(2003年)の脚本家ラリー・コーエンと知って大いに納得。
伏線の張り方もそつがなく、誘拐犯たちの意外な正体と目的が明かされる過程もスリリングだ。時折のぞくユーモアのさじ加減もいい。オスカー女優のベイシンガーが、座して助けを待つだけではなく、理系の知識と母性で自ら悪党に立ち向かう気丈なヒロインを熱演し、いかにも今時の気のいいあんちゃんといった感じのエヴァンス、こわもてのステイサム、そして実直そうな警察官に扮したウィリアム・H・メイシーら、微妙に豪華な共演陣もそれぞれ柄に合った役どころで好演している。




